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事件後、市役所には全国から非難や苦情の電話が殺到。真砂充敏市長は「市民の信頼を損なったことは大変申し訳ない」と陳謝した。

地域の目で監視を

 地域に衝撃を与えた今回の事件。子供が女児と同じ小学校に通う主婦(40)は「通学路の周辺には逃げ込める場所があまり多くない。子供が襲われ、『助けて』と叫んだとしても誰にも気付かれず連れ去られてしまうかもしれない」と不安を隠さない。事件後に小学校で行われた保護者向けの説明会でも「通学路付近に防犯カメラを設置してほしい」という要望が数多くあった。

 地域に広がった不安が払拭されない中、市教委は子供たちの安全を確保するため、3学期がスタートした1月9日から地域ボランティアらと協力して登下校の見守り活動を始めた。市教委の担当者は「学校と行政、地域が一丸となって子供の安全を守らなければならない」と気を引き締める。

 県内では他にも地域住民が協力して子供たちの安全に取り組むケースがある。和歌山市では27年、隣接する紀の川市で小学5年の男児=当時(11)=が自宅近くの空き地で刺殺された事件を受け、愛犬家らが散歩の時間を利用して登下校中の子供たちを見守る活動を開始。現在では250頭の飼い犬が「防犯パトロール犬」と記された黄色のバンダナをつけ、飼い主とともに見回りを行っている。

 こうした地域の見守り活動について、関西国際大学の西岡敏成教授(犯罪心理学)は「監視の目となり、地域で犯行が起きにくい環境をつくることができる」と評価する。

 今回の事件で、女児は心にも深い傷を負わされたに違いない。ただ関係者によると、幸いなことに現在は日常を取り戻し、学校に通っているという。

以上です