◆体内にマイクロチップを埋め込む「マイクロチップ・インプラント」は危険なのか?何を可能にするのか?などをまとめたガイド

自分の体を使って生命科学の実験をするバイオハッキングが流行し、DIYで自分の脳をハッキングする人がいれば、マイクロチップを体に埋め込む身体改造を行う人もいます。
SF作品のテーマにもなってきた「マイクロチップ・インプラント」が現実のものとなってきたわけですが、
「実際に健康上の危険はあるのか?」「何があるのか?」「空港の金属探知機に引っかからないのか?」といった気になる疑問に答えるガイドが公開されています。

◆マイクロチップとは?

マイクロチップ・インプラントと呼ばれるものは通常シリンダー型で、マイクロチップのほか、生物学的に安全なエポキシ樹脂、無鉛のホウケイ酸ガラスなどで包まれた銅のアンテナが含まれています。
2018年1月現在、ペットや人に対してマイクロチップ・インプラントが使われていますが、これらはバッテリーや動力源を持たないもの。
そのため、磁界に通信できるデバイスがない限り、インプラントは不活性状態になります。

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これらのインプラントはRFIDを利用するのが一般的です。
RFIDには低周波帯をカバーするもの、高周波帯をカバーするもの、極超短波をカバーするものなどがありますが、市販のインプラント用チップに使われているのは通常、高周波帯・低周波帯のものとなっています。

RFIDは電波を使用するものとして識別され、NFCはそのうち高周波を使用するものとなっています。
このようなマイクロチップ・インプラントを人間の体内に埋め込む試みとしては、2017年7月にアメリカ・ウィスコンシン州に本拠を置くThree Square Market(32M)という自動販売機メーカーが、従業員の体にマイクロチップを埋め込みクレジットカードや現金がなくても軽食を買えるようにする取り組みを始めたことが報じられています。

また、バイオハッカー向けツールを扱う「Dangerous Things」ではRFIDタイプのチップとNFCタイプのチップを両方販売しています。
RFIDタイプのチップを使って鍵なしで家や車の扉を開けたり、ノートPCにログインしたり、NFCタイプのチップを使って仮想通貨Bitcoinを扱えるようにしたりする人も登場しています。

◆健康上のリスク

では、マイクロチップ・インプラントは生物にとって危険ではないのか?というと、ペットに対して積極的に利用されていることからもわかるように、今日のマイクロチップは健康上安全だと考えられています。
ただし、人間がマイクロチップを体内に埋め込む場合、正しい方法を取らなければ感染症の危険性があるとのこと。

特にMRSAというブドウ球菌の一種は多くの抗生物質に対して抗体を持ち、感染すると死に至る危険性があります。
ただし、専門家が適切に処理することによって感染症になるリスクは低下するので、インプラントの埋め込みは自分で作業せずに専門家に頼る必要があるとDangerous ThingsのCEOであるAmal Graafstra氏は語りました。

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インプラントを埋め込むと、その後1日〜数日は患部が腫れますが、2週間から4週間でインプラントはコラーゲン繊維に包まれます。
一時的にかゆみや違和感が感じられることがありますが、2年もしないうちにインプラント周囲の傷は癒えるとのこと。
傷が癒えた後は皮膚の下にあるインプラントの存在を感じないようになるそうです。

Dangerous Thingsで販売されている最も安価なインプラントは、生体適合ガラス容器にチップを内蔵しており、親指と人差し指の間に埋め込まれるもの。
これらのマイクロチップはMRIと互換性があり、空港の金属探知機も反応しません。

また、動物用のチップとは違って人間用のチップは組織切片用接着剤などでコーティングされていないので、「やっぱり取り出したいかも」と考えを変えた時にも簡単に取り出せるとのこと。
Graafstra氏はときどき「意志に反してチップを体内に埋め込まれ、人の声やフラッシュライト、さまざまな現象を体験するようになった」という話を聞くそうですが、これらは精神障害の患者や詐欺師によるもので信憑性は薄いとのこと。

GIGAZINE 2018年02月01日 08時00分
https://gigazine.net/news/20180201-practical-guide-microchip-implants/

※続きます