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2018年2月1日 12:56 発信地:パリ/フランス
【2月1日 AFP】がんの生存率は世界中で上昇傾向にあるが、国による大きな格差が依然として存在することが、1月31日に英医学誌ランセット(The Lancet)で発表された国際的な大規模調査で明らかになった。また、一部のがんはいまだに世界のどの国でも治療困難な疾患となっているという。

 世界71か国における18種のがんを対象とする国際共同研究「CONCORD-3」の調査結果によると、この進歩と格差は特に小児がんに関して大きい。

 例えば小児脳腫瘍については、5年生存率が全体的に向上しており、2000〜2004年には54%だった割合が、2010年〜2014年には60%超にまで上昇。国別に見ると、米国、デンマーク、スウェーデン、スロバキアなどでは80%以上にまで向上したのに対し、メキシコやブラジルでは、2010〜2014年の同生存率は40%足らずだった。

 最も多くみられる種類の小児がんである急性リンパ性白血病についても同様に、カナダ、米国、欧州の9か国などでは5年生存率が90%を超えるまでに上昇した一方で、中国やメキシコでは60%未満にとどまった。

 論文の執筆者らは、声明で「この結果は診断治療サービスの受けやすさと質を反映している可能性が高い」と述べている。

 乳がんに関しては、今回の調査によると、世界中で全般的な向上がみられた。米国とオーストラリアで乳がんと診断された女性の場合、2010〜2014年の5年生存率は90%だった。16の欧州西部諸国では85%に向上し、東欧諸国は71%だった。インドでは、同期間で66%に上昇した。

 肝臓がんと肺がんは富裕国と途上国の両方で、依然として5年生存率が低水準にとどまっているが、この20年でいくらかの前進がみられている。

 1995〜2014年の20年間で、肝臓がんの5年生存率は韓国で11%から27%、スウェーデンで5%から17%、ポルトガルで8%から19%へとそれぞれ上昇した。

 肺がんも同様に、英国を含む21か国で5〜10%上昇した。最も大きな前進がみられたのは中国(8%から20%)、日本(23%から33%)そして韓国(10%から25%)だった。

■膵臓がんについては国際的に解明努力の必要あり

 一方、膵臓(すいぞう)がんは全世界で死亡率が依然として非常に高く、5年生存率が概して15%未満となっている。

 論文の共同執筆者で、英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(London School of Hygiene and Tropical Medicine)の研究者のミシェル・コールマン(Michel Coleman)氏は「急速に死に至るこのがんの危険因子を解明するための国際的な取り組みを拡大させる必要がある」と指摘した。

 同大学院のクラウディア・アレマニ(Claudia Allemani)氏主導の下で多数の専門家とがんに関する記録を収集、保存している施設300か所以上が集結して実施されたCONCORD-3では、がん患者3750万人分のデータを対象に分析を行った。これは2000〜2014年に世界で診断された患者全体の4分の3に相当する。

 今回の調査には、欧州から31か国、アジアから17か国、ラテンアメリカから13か国などが参加した。アフリカはデータ不足のため、6か国しか参加していない。(c)AFP/Marlowe HOOD