https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180203-00000009-pseven-cn

「世界のメディア王」との異名をとるルパート・マードック氏の元妻、ウェンディ・トン氏は「中国のスパイ」との疑惑が報じられた。トン氏は米ドナルド・トランプ大統領の娘婿で、大統領上級顧問を務めるジャレット・クシュナー氏との親しい関係を利用して、トランプ政権内部の機密情報を入手し、中国共産党指導部に流しているなどとの疑惑を米経済紙「ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)」が報じたのである。

 トン氏の中国スパイ説については、2013年のマードック氏との離婚時に、同氏側から流されており、今回も同氏がオーナーを務めるダウ・ジョーンズ社発行のWSJが伝えていることから、今回の騒動は同氏とトン氏との遺恨によるものとの見方もある。

 WSJによると、米情報関係者はこのほど、クシュナー氏に「ウェンディ・トンは中国のスパイとの可能性が高く、クシュナー氏を利用している」などとして、クシュナー氏がトン氏と交友関係を深めていることに強い懸念を示した。

 トン氏は現在、ホワイトハウスに近いワシントン中心部に、中国系企業が1億ドル(約110億円)もの資金をかけて中国風庭園を建設する計画を実現するために、政界やホワイトハウスに激しいロビー活動を展開している点も注目されている。

 疑惑の真偽のほどは不明だが、トン氏の中国人スパイ説は目新しいことではない。それは、マードック氏がトン氏との離婚の原因に関して、「ウェンディが中国政府の手先だったからだ」との爆弾発言を行っているからだ。

 それによると、トン氏は中国の大学生時代の1986年、人民解放軍総政治部のスパイ候補生になり、軍との密接な関係をもち、解放軍総政治部のトップスパイとして訓練されていたという。大学卒業後、米エール大のビジネススクールに留学したのも、欧米の要人に近づくためで、MBAを取得したのち、スパイ活動を本格的に開始したというのだ。

 トン氏が米国から香港行きの飛行機のファーストクラスに乗った際、隣の席にマードック氏が座っていたのも、中国側が仕組んだもので、トン氏は偶然を装って近づき、親しくなり、妻の座を得たという。

 また、結婚後も当時のトニー・ブレア英首相やプーチン・ロシア大統領との関係を取りざたされ、これも中国スパイとしての行動だったなどと報じられたこともあるが、その情報の出どころはマードックサイドだったとみられている。

 このようなことから、今回の改めてのスパイ説を報じた香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」の書き込み欄には「マードックがオーナーであるWSJが報じたことで、疑惑は作られたものか、真実なのかという見分けがつかなくなったのは間違いない。いずれにしても、ウェンディさんがホワイトハウスを動かすだけの力があるとは思えないのだが…」などとスパイ説を疑問視する声も投稿されている。