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以下は石井氏の講演内容の概略です。
http://macky.nifty.com/cgi-bin/bndisp.cgi?M-ID=dolphinlovenews&;FN=20020917111705

生まれたときからイルカを食べて育った私にとって、イルカ猟は当然の漁業で
あり、小学生のころには、授業をサボって、丘の上からイルカ追い込み猟を眺
め、どうやったらイルカをうまく追い込めるか、イルカの追い込み猟の研究を
したものでした。やがて私は漁師になり、伝統の名のもとに、また、生計をた
てるために、堂々とイルカの捕獲を行っていました。

1996年、イルカ猟にひとつの事件が起こりました。富戸で捕獲してはいけ
ないオキゴンドウを20数頭捕獲してしまったのです。富戸のイルカ猟には
「捕獲枠」というものがあって、捕獲してもいいイルカの種類と捕獲頭数が日
本政府によって決められていました。ところが、この捕獲枠について、肝心の
現役の漁師である私たちは何も聞かされていなかったのです。

私はイルカが哺乳類だということは知っていました。しかし、漁師にとっては、
イルカも魚と同じ海の産物です。「漁師が海にいるものを捕って何が悪い」と、
私は考え、テレビのインタビューにも、堂々と漁師の立場を代弁しました。
しかし、事実はオキゴンドウの捕獲は違反捕獲でした。組合の幹部だけが違反
を知っていて、それを隠していたのでした。

私は、「違反を反省し、不正を公表して正し、以後は捕獲枠を守ってイルカ猟
の操業を続けていくこと」を提案しました。「捕獲枠を守ってイルカを捕れば、
いまにイルカが増えて、捕獲枠を広げることも可能だ。そうすればもっと多く
のイルカを捕れるようになる」と私は考えました。

ところが、不正を正そうという私の意見に対して漁協も、仲間も、誰も耳を傾
けませんでした。水産庁は、魚協の言い分は取り上げましたが、私の訴えは取
り上げず、無視し続けました。それで、私はただ一人で、不正を正す戦いをし
ようと決心しました。このとき、私の体の中で何かが動きました。それは小さ
いときから私が食べてきて、すでに私の体の一部になっていたイルカだったの
かもしれません。私の心から、これまでたまっていた感情があふれ出てきまし
た。