正倉院文書の複製に支援を募る

http://www3.nhk.or.jp/lnews/chiba/20180206/1080001536.html
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世界遺産にも登録されている奈良の正倉院に伝えられた貴重な史料、「正倉院文書」の複製を進めようと、
千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館はインターネットを通じて資金を募る取り組みを行っています。

「正倉院文書」は、奈良時代の行政記録や人々の戸籍などが記されたおよそ800巻に上る古文書で、
古代史を研究するうえで欠かせない極めて貴重な史料とされています。

佐倉市の国立歴史民俗博物館では40年近く前から文書を写真で撮影したうえで
精巧に複製する作業を進めてきましたが、このところ予算が減額されていることなどから、
新たにインターネットを通じた「クラウドファンディング」で広く支援を募ることになりました。

目標額は来月末までに350万円で、達成すれば正倉院文書1巻分を複製できるということです。

国立歴史民俗博物館の仁藤敦史教授は、
「なるべく多くの人に正倉院文書という史料の貴重さを理解してもらい、
少しでも支援してもらえればうれしい」と話しています。

【災害に備え複製を】国立歴史民俗博物館が複製を進めている正倉院文書は、奈良時代以降、
聖武天皇ゆかりの宝物などを納めた正倉院に保管されてきました。

当時は紙が貴重品だったため、本来は処分されるはずの行政に関する文書などが
官庁から東大寺に払い下げられ、僧侶が写経を行う際の帳簿などとして再利用されました。

このため1300年ほど前の各地の戸籍や税金などに関する記録が奇跡的に現代に伝えられ、
中には借金の証文や、汚れた服を洗濯するための休暇の申請書など、
当時の人々の暮らしぶりを生き生きと再現できる史料もあります。

一方、災害などの多い日本では、長い歴史のなかで、すでに失われてしまった文化財も少なくありません。
文部科学省によりますと、東日本大震災では地震や津波によって、国宝や重要文化財などのうち
744件が被災したほか、各地の博物館や個人が保管していた文化財が大きな被害を受けました。

こうした文化財については、修復への取り組みが進められていますが、
仮に十分な記録が残されないまま火災や洪水などによって資料そのものが失われてしまえば
二度と取り戻すことはできません。
仁藤教授は、
「東日本大震災は、文化財の複製の重要性について改めて認識するきっかけになった。
将来にさまざまな情報を伝えていくためにも単に写真を撮るだけではなく、
巻物の表紙やひもなども含め、古文書の形をそのまま残しておくことが大切だ」
と話しています。

02/06 10:11