筑波研究学園都市の研究者らを対象とした職場のストレスや生活環境のアンケートで、最近1年間で自殺を考えたことがあると答えた人が246人に上ることが7日までに、筑波研究学園都市交流協議会のまとめで分かった。同協議会は「各機関でストレスを抱えた職員へのメンタル対策が重要になる」と強調している。

調査は同協議会の労働衛生専門委員会が5年ごとに実施。今回は昨年2〜3月、53機関、1万9481人を対象にネット(無記名)で行い、7255人から回答(回答率37・2%)を得た。このうち研究学園都市在住の4154人を対象に解析を行った。

「これまでの人生で自殺を考えたことがあるか」との問いには、1096人(26・4%)があると答え、厚労省の2016年度自殺対策に関する意識調査結果の23・6%と比べ高かった。さらにこのうち「最近1年以内に自殺したいと思ったことがあるか」の問いには、22・4%の246人があると答え、厚労省調査の18・9%より高かった。

性別では男性が多く、年代は20〜30歳代が目立つ。職種では事務系、研究・教育系、技術系の順で高かった。雇用形態では派遣職員、任期付常勤職員の順で高い。

職場のストレス要因調査では、男性、30代、教育・研究系は質量ともに困難な仕事をこなしているが、裁量度があり達成感が高い一方、女性や事務職は達成感が少ないことが分かった。

同委員会委員長の笹原信一朗筑波大医学医療系准教授は「職員の半数近くが心理的ストレス反応を抱えている。1年以内に自殺を考えた人が246人いたのは衝撃。各機関ではストレスチェックを行っており、リスクを抱えた職員がいることを各機関のメンタル対策で把握し、十分対応を取る必要がある」と話した。

同委員会は2月初旬に会合を開き、結果を報告して対応を確認する。今後、学術的検討も加えた最終報告をまとめ、労働衛生・精神衛生の改善方策に生かす考え。

一方つくば市の生活環境の満足度調査では、文化活動への満足度は前回調査より3・7ポイント低い79・3%。交通手段は前回より0・4ポイント低い57・5%だった。つくばエクスプレスの開通で電車の満足度は高まったが、研究学園駅周辺など市内の要所で交通渋滞が発生していることが不満の要因となった。治安は83・7%、同市への愛着度は86・3%といずれも過去最高だった。笹原委員長は「学園都市草創期は、つくばシンドロームといって自殺者が相次いだが、都市機能の向上で環境面の改善は進んでいる」と指摘した。

同協議会は2004年、国公立・私立の大学や研究機関、公益法人、民間研究所、国機関など89機関で構成。研究交流や産学官連携といった活動を行っている。(綿引正雄)


最終更新:2/7(水) 17:05
茨城新聞クロスアイ
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