一体、どのような人物なのか。

 出身は、埼玉県入間市。実家は、生花店を営んでいるという。地元の高校を卒業後、AO入試を経て、東京工業大学の経営システム工学科に入学した。

 全国紙の経済部デスクによれば、

「和田さんは大学在学中に、人生のストーリー投稿サイト“STORYS.JP”を開発しました。そこで、“ビリギャル”などの人気コンテンツを手掛けた。そのうちの10作品が書籍化され、トータル120万部以上も売り上げました。
さらに今度は、知人の誘いでコインチェックの前身であるレジュプレスという会社の創業に関わり、大学を中退したのです」

 そして、仮想通貨取引所へと業態転換を図るきっかけとなったのは、「マウントゴックス」の破綻だったという。

「14年2月、マウントゴックスは、470億円相当のビットコインを消失させました。しかも、マルク・カルプレス社長が業務上横領などで逮捕され、仮想通貨のイメージは地に落ちた。
その結果、大手企業は参入に躊躇するようになりました。それをチャンスと見た和田さんは、マウントゴックス破綻から半年後にコインチェックを始めるのです」(同)

 しかし、皮肉なことにマウントゴックスと同じ轍を踏むことになったわけだ。

 つまり、セキュリティー面での規制や法整備などは一歩も進んでいなかったことになる。その一方で、仮想通貨への参加者は、14年は1万人ほどだったが、300万人へと急増した。

過熱に問題は
「芸能界でも、とりわけお笑い芸人が仮想通貨にのめり込んでいます」

 とは、スポーツ紙の記者である。

「ダウンタウンの松本人志やロンドンブーツの田村淳もビットコインなどに投資していることを明らかにしている。
また、藤崎マーケットのトキは預金全部をコインチェックでネムに投じ、“現時点の所持金は6万円と交通系ICカードの残高だけになってしまった”と憤慨していました。
お笑い芸人に広がったのは、サイドビジネスに熱心なたむらけんじが、仮想通貨の布教活動をしたからです」

 国から保証されるわけでもない仮想通貨が、これほど過熱することに問題はないのか。

 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問の野口悠紀雄氏の話。

「ビットコインをはじめとする仮想通貨は、非常に少額な送金ができ、そのうえ、送金手数料がほぼゼロというところで、革新的なシステムだと言われていた。
ところが、ブームのせいで取引量が増加したことに伴い、送金手数料も跳ね上がりました。銀行振込よりも割高で、もはや投機の対象以外には利用価値がなくなってしまった。
価格高騰は、仮想通貨の利点を殺してしまっています。早急に、投機的要因を排除するシステムづくりが必要です」

 いまだかつて、去らないブームがあった例しはないのである。

「週刊新潮」2018年2月8日号 掲載