続き,

あなたの通った公立小学校にこんなのありました? そもそも「標準服」はありましたか?

 同じ公立小学校だからといって、一緒に考えてはいけない“ガッコ”のようだ。だから、前出の父兄もアルマーニの採用には肯定的だ。

「別にいいんじゃないですか、だって泰明ですよ。教員もトップクラスで中央区のフラッグシップの学校なんですから。特認校制度になる前は、我が子を泰明で学ばせたいと、東京、埼玉、神奈川、千葉の4都県30自治体から通っていたほど。両親の勤務先が銀座にあれば、入学できたんですよ。親もそこまでして通わせたいのですから、駅などのお迎えといったPTA活動にも熱心だし、意識も高かった。児童にだって“自分は特別だ”というモチベーションが生まれたんです。だからこそ、学区内の児童は少ないにもかかわらず、80年代の学校統廃合の波に埋もれることもなく、生き残ったんです。しかし、09年でしたか、中央区が特認校制度として、区内ならどこからでも通えるようになって以来、児童のそうした“特別感”も薄らいできているといわれています。中央区なんて小さいですからね、遠くから通わせた両親とは学校に対する思い入れが違いますよ。校長も“名門・泰明”を維持させたかったのでは」

 泰明小の学区は銀座1丁目〜8丁目(一部は京橋築地小学校)で、まさに銀座そのもの。1学年2クラス、全校児童365人の小ぶりな小学校ながら、学区内から通う児童だけでは埋まらない。それを補ってきたのが、越境してまで通わせたいと願う両親の子息なのだ。


イヤなら来るな
 だからこそ父兄は泰明ブランドの復興を願っているようなのだ。だから、「高い!高い!」と言われる標準服についても。

「報じられ方が極端ですよね。8万円とか9万円とか言われていますけど、上着があればいいわけですよ。靴下まで標準服である必要はないし、ユニクロでいいじゃないですか。上着とズボンだけなら4万円程度でしょ。子供を通わせる定期代と比べたら、大したことありませんよ」

 見えないお洒落なんて銀座には無縁――だって銀座ですもの。見せてこそのお洒落、ブランド力ざます――。

「それに公立小学校ですからね、お受験があるわけでもないんですよ。中央区内在住で空きがあれば、希望で入学できるんです。そのための学校説明会であって『来年度からの泰明小学校の方針です。それで宜しければいらしてください』と説明しているわけです。気に入らなければ、入学しなければいいだけのことです。大騒ぎするほどの問題ではないと思いますけどね」


 いらぬ心配のようである。

終わり