「工作員妄想」こそ妄想だったスリーパーセル問題
2018年02月14日 22:00

http://agora-web.jp/archives/2031090.html

古谷氏は当該記事の中で公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望(平29年)」を引用し、
ここに「スリーパーセルなる文字がない」ことを理由に、
その存在を〈三浦氏の発言は、根拠の無い「工作員妄想」の一種と言わざるを得ないのでは無いか〉
〈三浦氏にだけその存在が知られている「スリーパーセル」〉などとしていますが、

『警察白書』(平成29年)にはこうあります。

〈北朝鮮は、我が国においても、
潜伏する工作員等を通じて活発に各種情報収集活動を行っているとみられるほか(以下略)〉

この「潜伏する工作員」こそ「スリーパー(セル)」であり、
普段は通常の人々と同じような仕事をしながら(=潜伏)、一方で総連などに情報提供をしている人がいることを指摘しています。


古谷氏の認識は定かではありませんが、公安調査庁の文書を引き、
『警察白書』を引かずにいることから、
公安調査庁と警察の公安部門が別の組織であることを知らないか混同しているのではないかと思います。

公安調査庁は法務省の外局であり、警察の公安部門は都道府県警察本部の警備局に「公安課」として設置されているほか、
警視庁は「公安部」を持っています。同じ「公安」でも別組織です。

当該記事の「公安当局」が何を指しているのか不明ですが、
少なくとも公安部(公安課)を持つ警察の資料である『警察白書』には「潜入する工作員」の文字があるので、
〈公安当局による報告書の中には「スリーパーセル」なる特殊工作員や活動家の記述は一切存在していない〉との記述は誤りでしょう。