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2月16日 15時33分
世界遺産の「富岡製糸場」がある群馬県富岡市で、歴史的な建造物の耐震性を高めるため最先端の炭素繊維を建物に取り入れることになり、16日、設計を担う建築家の隈研吾さんが現地を視察しました。


富岡市にある「富岡倉庫」は、明治から大正にかけてつくられたレンガと木造の倉庫で、「世界遺産センター」などに活用される計画ですが、老朽化が激しく、今年度から耐震補強工事が行われています。

16日は、工事の設計を担う建築家の隈研吾さんと繊維メーカーの代表らが富岡倉庫を視察に訪れ、炭素繊維を張り巡らす「はり」や柱の様子を確認しました。

今回使われる炭素繊維は、鉄製のワイヤーよりも強度が10倍程度も高い一方で重さは5分の1しかなく、富岡市などは世界遺産の富岡製糸場でも耐震補強材として導入することを検討しています。

隈研吾さんは、「日本の建築は木材の優しさと繊細さという性質を持っていたが、20世紀の工業化の時代にコンクリートによってズタズタにされてしまった。これからの建築は繊細さを復活すべきで、炭素繊維はその一つの主役になる」と話しています。

鉄製ワイヤーより強度10倍 重さ5分の1

「富岡倉庫」に使われるのは、炭素繊維を特殊な樹脂とともに編み込んで作った直径1センチほどのロープ状の材料で、石川県の繊維メーカーが開発しました。

軽くて強度が高いのが特徴で、従来の鉄製のワイヤーよりも引っ張りへの強さが10倍も高い一方、重さは5分の1しかありません。

木材との相性がいいことから日本の建築物への導入が期待され、耐震工事の補強材として日本工業規格に年内にも認定されることが決まっていますが、建材としての実績が乏しいため、建築基準法上、一般の建築物に使うのは難しいのが実情です。

このためメーカーでは今回のような歴史的建造物で性能と安全性を確かめ、用途を広げていきたいとしています。

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