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2月初めから急落した株式相場でリスク回避の売りが一服している。前週(12〜16日)は相場の予測変動率を示す指数が低下して買い安心感が広がり、日米の株価がいずれも反発した。一方、日本株では一時1年3カ月ぶりの水準まで進んだ円高・ドル安が、輸出企業の懸念材料として浮上。市場では一段の円高を見込む声があり、週明けの株式相場は上値の重い展開になる可能性がある。

 今回の株式市場の混乱は、米金利上昇を受けた世界経済の見通しの不透明感がきっかけだ。米株式相場の予測変動率を示すVIX指数(通称・恐怖指数)は6日に一時、50を突破し、約2年半ぶりの水準に急上昇。機関投資家が手持ちの株式を一斉に現金化した。

 その後、VIX指数は14日に安全圏とされる「20以下」に低下。前週の米ダウ工業株30種平均は週間で4%上昇した。これを受け、日経平均株価も同2%上昇と、4週ぶりに上げた。

 日本株では投資指標面での割安感が強まっている。日経平均の採用銘柄の予想PER(株価収益率)平均は12倍台と、2012年秋に始まった「アベノミクス相場」のレンジ(14〜16倍)の下限を下回っている。

 値下がりを好機とみて買いを入れる個人投資家も増えている。東京証券取引所によると、個人投資家の日本株の買越額は2月第1週(5〜9日)で7458億円。データを遡れる1982年以降で最大だった。

 ただ、懸念となるのが米国債の増発を警戒した円高・ドル安の進行だ。円相場は16日に一時、約1年3カ月ぶりの高値となる1ドル=105円台をつけた。円高に歯止めがかからなければ輸出企業を中心に利益が目減りし、日本株の重荷となる。

 週明けの市場では、さらに円高・ドル安が進むとの見方がある。米国の財政悪化や保護主義への懸念からドル売りが続きやすいためだ。「投機的な円買い・ドル売りが加速すれば、心理的節目の1ドル=105円を突破する可能性は十分ある」(シティグループ証券の高島修氏)との見方が多い。

2018/2/18 20:30
日本経済新聞
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