社名の由来は、ギリシャ神話の神々が棲むオリンポス山。名は体を表すというが、光学機器メーカー「オリンパス」は、笹宏行社長(62)や役員の多くが自らを“神”のごとく、勘違いして部下やマスコミに接しているのではないか。

月29日、朝日新聞朝刊の社会面にこんな文字が躍った。
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〈オリンパス、社員弁護士が会社提訴〉
https://www.asahi.com/articles/ASL1W46N5L1WULZU001.html

 記事は、オリンパスの法務部所属で弁護士資格を持つ社員が、“パワハラ”の被害を受けたとして会社を訴えたとの内容だ。実は、本誌(「週刊新潮」)1月18日発売号の記事〈7年前の不祥事を教訓にできない「オリンパス」の隠し事〉で、取り上げた人物なのだ。

 06年5月、中国広東省深セン市内にあるオリンパスの現地法人「OSZ」が、中国税関当局に虚偽申告を疑われ、解決のために現地の“反社会的”と目される札付き企業を利用。社員弁護士は、これが米国の“海外公務員への賄賂を禁じる”法律に抵触し、数百億円に上る罰金や制裁金が科せられる恐れが高いと判断した。

 そこで昨年末に笹社長など約300人へOSZ問題の再調査を促すメールを送ったのである。オリンパスの現役社員によれば、

「笹社長などへのメールを問題視した会社は、社員弁護士のパソコンを“停止”しました。そこで彼は“パソコンの使用禁止は公益通報に対する不利益扱いで、公益通報者保護法に違反する”と主張して、精神的損害500万円の賠償を求めて会社を訴えたのです」

 この社員弁護士は、昨年末送ったメールのなかで、自分より先にOSZの問題を指摘した幹部社員が“左遷”されたことにも触れて、これも“公益通報者保護法違反”と綴っている。

「“左遷”された幹部は、中国現地法人の元法務部本部長です。1月1日付で、目的もはっきりしない新設部署に飛ばされた挙句、肩書もなくなり、部下もいない。会社は“通常の人事異動”だと説明していますが、そんな言葉を信じる社員は誰一人いませんよ」(同)

“お墨付き”の根拠

 本誌がOSZの問題を質した際、オリンパスは“社内調査委員会が15年10月に作成した最終報告書で、違法性なしと結論を出しているので解決済み”だとし、

「米国司法省及び中国の関係当局へ報告、説明をしております。当社から海外当局に対する自主申告から既に2年以上が経過していますが、刑事罰を含めた処分は何ら受けていません」(オリンパス広報・IR部)

 つまり、オリンパスは“海外の司法当局がシロだと判断した”と主張しているわけだ。

「OSZの件で、そもそも米司法省や中国の関係当局へ自主的に報告、説明していたのでしょうかね」

 こう疑問を口にするのは、オリンパスの別の社員だ。

「OSZの問題で、社内で海外当局へ自主申告したという説明を受けた記憶はありません。当局とは文書でもやり取りしたはずですから、それを公にすれば疑惑を払拭できると思うのですが……」

 改めて、オリンパスの広報・IR部に海外当局への報告、説明の詳細を聞くと、

「HP上の1月31日付『当社及び当社子会社に関する一部報道について』にて公表していますので、参照してください」

 だが、HP上のリリースはおろか、過去の公開資料などにも海外当局から“お墨付き”を得た経緯は一切明らかにされていないのだ。経済誌の記者がいうには、

「監督官庁の経産省や東京証券取引所、監査法人なども、OSZの問題に関心を持ち始めています。日本の関係当局の聞き取り調査でも、オリンパスは同じことがいえるのでしょうか」

 オリンパスの口封じが、役所にも通用するとは思えない。

2/19(月) 5:57
デイリー新潮
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180219-00537847-shincho-bus_all&;p=1

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オリンパス、社員弁護士が会社提訴「公益通報に不利益」(2018年1月29日)
https://www.asahi.com/articles/ASL1W46N5L1WULZU001.html