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2018年2月19日 / 08:44 / 14時間前更新
Ritvik Carvalho

[ロンドン 16日 ロイター] - 世界の株式市場はようやく、債券市場について心配するのをやめたようだ。ここ数週間で起きた世界株価の混乱は主に、米10年債利回りが3%近くまで上昇し、4年ぶりの高水準となったことが発端だった。

それまでは、債券市場がどこに向かおうと、株式市場も必ずそれに追随していた。

だが、米インフレ指標が発表され、さらなる金利上昇に対する不安が一段と高まったものの、株式市場は突如として、債券市場の動きを無視して驚くべき回復を見せ、年初来プラスに戻した。

実際のところ、MSCI世界株価指数.MIWD00000PUSは15日、週の上げ幅としては2011年後半以降で最高水準を記録した。

国債利回り上昇は通常、インフレ率上昇と、最終的には金利上昇を織り込んでいる。金利が上昇するような環境は、株式市場にはマイナス要因だと考えられている。借り入れコスト増によって経済成長や企業収益の減速を招き、ポートフォリオマネジャーが株式から債券に乗り換える可能性があるからだ。

しかし歴史的に見ると、株式と債券利回りには相関性が見られることが多く、このことは急成長する経済においては典型的な現象だとエコノミストは主張する。高い経済成長とインフレ率は、投資家に債券市場を警戒させ、実質的な家計の借金を軽減することで消費を促し、企業の価格決定力と利益を増加させる。

以下のチャート3つは、最近の市場動向を理解する上で役に立つだろう。

1)債券は火星人、株式は金星人

2月2日に発表された1月の米雇用統計が予想を上回る賃金上昇を示したことで、世界の株式市場は最高値を更新後、急落した。

このデータで賃金主導のインフレ上昇懸念をかき立て、株売りが1週間続いた。だがその後、債券利回りが上昇しているにもかかわらず、株式相場は急反発した。

2)長期的観測

以下の図表が示す通り、1990年代後半以降、株式と債券は長期間にわたり、とりわけ経済成長期において連動する傾向にある。

3)株式リスクプレミアムが後退

株式リスクプレミアムとは、債券と比べて株式投資の期待収益率がどの程度上回るか、その差を測る指標である。株価あるいは株価指数の益回り(株価収益率の逆数)と債券利回りの差で計算される。

この差が大きければ、株式リスクプレミアムが高くなる。最近の債券利回りの上昇はこのプレミアムをむしばんでおり、債券に対する株式の選好を弱めている。