2/21(水) 11:59配信
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 「冗談じゃない」「これからの漁に響く」。米軍三沢基地所属のF16戦闘機が20日、燃料タンクを投棄した青森県東北町の小川原湖。湖では当時約100隻が出てシジミ漁の真っ最中だった。タンクが落下したとみられる付近では約5隻が操業。一番近い漁業者は約100〜200メートルの距離にいたという。漁協に第1報を入れた同町の漁業山田正彦さん(52)は報道陣に憤りをあらわにした。

 山田さんは腰引き漁の最中、約400〜500メートル先の湖面に突然上がった水柱で異常に気付き、午前8時55分、漁協の事務所に「何かが落ちたようだ」と第1報を入れた。

 「高さ15メートル、幅10メートルはあった。氷結したとこから雪も舞い上がって、最初は竜巻かと思ったんだ」

 山田さんの船に同乗させてもらい現場付近に近づくと、湖面には油膜と、戦闘機から落下したとみられる複数の迷彩色の破片が浮遊。鼻をつく異臭が立ち込めていた。

 「人や船に被害はなかったが、現場の油がひどい。早急に何とかしてほしい。寒シジミ漁のいいところだったのに、冗談じゃない。もうちょっとずれていれば、仲間の船に落ちてたかもしれない」と山田さんは語気を強めた。

 小川原湖は全国有数のシジミの産地。昨秋からのシラウオ漁も佳境に入り、最盛期は過ぎたもののワカサギ漁も漁期という中で、漁協は全面禁漁という苦渋の決断に至った。同漁協職員の細井崇さんは「ちょうど寒シジミは流通量が少なく、高値での取引が期待できる時期。漁業者にとっては、経営的に非常に痛い」と肩を落とした。

 湖の東側に隣接する三沢市内でも不安が広がった。三沢署は、午前11時から約6時間にわたり、現場付近周辺の市道約5キロを通行止めに。姉沼でワカサギ釣りをしていた40〜50人にも避難を呼び掛けるなどの対応に追われた。同署は「タンクに油が入っている可能性があり、万が一の危険性を考慮した」としている。

 三沢基地周辺の住民らでつくる基地周辺町内連合会の黒田進二会長は「今のF16は導入から20年がたち、耐用年数が来ているのでは。古いのであれば新型機へ変更し、兵士の十分な訓練を行ってほしい」と要望。その上で「このような事案があると市民の不安が強くなる。航空機の整備を万全にし、市民の不安を解消するため、原因究明を急ぎ市役所を通して情報公開をしてほしい」と話した。

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「冗談じゃない」。現場付近の水域を報道陣に案内しながら、憤りを語る目撃者の山田さん=20日午後、小川原湖

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