豪雪で相次ぎ宿泊キャンセル、「水がに」に期待
2018年02月24日 16時47分
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20180224-OYT1T50055.html

 記録的な豪雪に見舞われた今月上旬、福井県越前町内の宿泊施設で500件近いキャンセルが相次ぎ、越前がに漁の出漁も落ち込むなど、地場産業への影響が懸念されている。
 そんな中、19日解禁された「水がに(ズボガニ)」漁が豊漁となっており、民宿などは「安価でおいしいズボガニの魅力で挽回したい」と期待を寄せている。
 町観光連盟によると、民宿など町内の宿泊施設47軒で、今月5〜13日、494件、2800人以上が宿泊や宴会を取りやめた。2月下旬から4月の予約も伸びず、今も県外から「車で道を走れるのか」などの問い合わせが絶えないという。
 漁への影響も大きい。町漁業協同組合によると、漁船への被害は確認されなかったが、しけや荷揚げ場の積雪が原因で、2月に水揚げできたのは4日間だけ。交通網の寸断で県外への出荷にも一時影響が出た。副組合長の小林利幸さん(66)は「いつもの半分しか漁に出られず、かなりの痛手だった」と話す。
 明るいニュースは水がに漁が解禁から数日、天候にも恵まれ、例年にない豊漁になっていることだ。脱皮して間もないオスのズワイガニで、価格は成長しきった越前がにの10分の1程度。身が殻からズボッと取れることから「ズボガニ」の愛称で県民に親しまれ、冬の味覚として知られる。
 8割以上のキャンセルが出た日もあったという同町厨の「越前の宿うおたけ」女将おかみの今村真美子さん(52)は「あとはズボガニに託した。1か月間限定の味を楽しみに訪れてほしい」と話す。今年の水がに漁は3月20日まで。(大川哲拓)