◆積水ハウス、会長電撃解任劇!詐欺事件めぐり社長vs会長が壮絶内紛、場外バトルに発展!

積水ハウスは2月1日、2トップがダブル辞任した。
仲井嘉浩取締役常務執行役員が社長に昇格する。
阿部俊則社長は会長となり、和田勇会長兼最高経営責任者(CEO)は取締役相談役に退き、4月の株主総会後に取締役を降りる。

実は、和田会長は解任だった。
後述する詐欺事件の責任を会長と社長が押し付け合い、取締役会の動議合戦で社長が勝利。その結果、会長を放逐したというのだ。
会員制情報誌「FACTA」(ファクタ出版/3月号)がその情報をすっぱ抜き、2月20日付日本経済新聞が後追いして報じた。
さらに朝日新聞は2月22日付記事で、取締役会での会長、社長の攻防を報じ、日経新聞の報道を事実上、一部修正した。

社長交代は2008年4月、阿部氏が社長に就任して以来、10年ぶりのことだ。
仲井氏は阿部氏が経営企画部長時代から一緒に仕事をしてきた腹心で、阿部氏は「若い力に期待する」と述べている。

今回の人事のポイントは、積水ハウスの“ドン”といわれた和田氏が完全に引退することだ。
和田氏が社長に就いたのは1998年。以来、社長、会長と歴任して経営の中枢を担ってきた。
最近は海外の事業拡大の先頭に立ち、トップ外交を繰り広げていた。

1月25日付日経新聞が、1月24日の社長交代の記者会見をこう報じた。

「和田氏は最高経営責任者(CEO)を兼務しているが、今回の会見には出席しなかった。
阿部俊則社長は『ほとんど(の業務を社長が)やっている』と話し、半年前に仲井嘉浩取締役常務執行役員に社長就任を打診したのも自分だと明かした」

CEOである和田氏が社長交代の会見に出ず、さらに次期社長を決めたのは自分だと、わざわざ阿部氏が発言したのは極めて異例だった。
2月20日付日経新聞は「和田相談役は『阿部俊則会長(当時は社長)による解任だった』と主張した」と報じている。
さらに、1月24日の取締役会で「詐欺事件」の調査対策委員会の最終報告書が提示され、和田氏は「阿部氏の責任が重いと記されていた」と暴露している。

「これを受けて、取締役会で議長として(和田氏が)阿部社長の退任を求めた。
『取締役会前にあった人事・報酬委員会では阿部氏の退任に対し、阿部氏を除く会員が賛成した』(和田氏)」(日経新聞記事より)
「阿部氏の退任動議は5対5の賛否同数で流れた。次に阿部氏から私の解任を求める緊急動議が出た。6対4で動議は可決」(同)

日経新聞紙上で和田氏は、「事件師に引っかかった自分たち(=阿部)の責任を消すためにクーデターを起こしたという感じだ」と、悔しさを滲ませる。
それに対し、朝日新聞はこう書いている。

「(議長役の和田氏が阿部氏の退任を採決にかけた)。
当事者の阿部氏を除く10人で採決し、5対5の賛否同数で成立しなかった。
今度は阿部氏が、経営方針の違いなどを理由に、議長役を稲垣士郎副社長(当時、67)に代わることを提案。
6対5の賛成多数で通り、続いて和田氏解任の緊急動議が出された。
和田氏を除いて採決すれば、6対4で可決する情勢だったため、議長の稲垣氏が和田氏に『自分から辞めたらどうですか』などと数回話しかけ、判断を求めた。
和田氏は自ら辞任すると表明したという」

さらに、和田氏は「議長から言われ、どうしようもなくなった」と暴露している。
「FACTA」は「詐欺問題の責任を押し付け合い、昨年末から積水ハウスの取締役会が揉めるようになり、直近の取締役会では『和田氏と阿部氏がそれぞれ<弁護士を立てて争う>と怒鳴り合うほどの大荒れだった』と住宅メーカー関係者は打ち明ける」と、“奥の院”のトップ激突を明らかにしている。

日経新聞で和田氏は「(1月24日に)記者会見することも知らなかった。
(中略)人事権はCEOにあるので、半年前に阿部氏が仲井嘉浩氏に(社長就任を)打診したなどあり得ない」と自分が出席しなかった社長交代の記者会見での出席者の発言を、きっぱり否定した。

こうなっては、“企業統治”の4文字は吹っ飛んでしまう。
積水ハウスのガバナンスはどうなっているのかとの疑問が湧いてくる。

積水ハウスは2月20日、「(和田氏は)本人の意思で辞任し、世代交代した。解任という事実はない」とホームページに掲載した。
取締役会の中身は「開示の義務がない」との立場だ。

ビジネスジャーナル 2018年02月28日 00時00分
http://biz-journal.jp/2018/02/post_22458.html

※続きます