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「これだけのブランドがこの値段、なかなか出ません。元値に関係なく表示されているお値段です。この機会を逃さないでください」。西武船橋店(千葉県船橋市)の正面入口を入ってすぐのワゴン前で男性店員が大きな声で叫んでいた。

閉店前最後の日曜日、西武船橋店の1階ではハンドバックのワゴンセールが行われていた。1万6000円〜1万8000円程度するハンドバックも5000円(税抜き)で売られているとあり、女性たちが群がっていた。

店頭では閉店を告知する看板などを写真におさめる客も目立った。50代の女性は「昔から母親と買い物をした思い出が詰まっている。生活のほとんどは西武でまかなっていたので閉店はショック」と語る。

■売り上げはピーク時から7割減

船橋駅の南口に位置する西武船橋店は2月28日、50年の歴史に幕を降ろす。開店50周年を迎えた昨夏、西武小田原店(神奈川県小田原市)とともに閉店が発表された。

セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武は前2017年2月期にそごう柏店(千葉県柏市)など百貨店4店を閉店、今2018年2月期もそごう神戸店(兵庫県神戸市)ら関西の2店をH2Oリテイリングに譲渡するなど、不振の百貨店の閉鎖・譲渡を進めてきた。

西武船橋店の売上高のピークは1992年2月期。婦人服を筆頭とするファッション領域が業績を牽引し、売上高は551億円を記録した。その後も、本館改装や別館へのロフト誘致など、さまざまな取り組みを実施してきたが、2010年2月期以降は8期連続で営業赤字が続いた。2017年2月期の売上高は169億円とピーク時から7割も落ち込んだ。

船橋市の人口は2017年10月時点で63万人と、20年前から約8.6万人も増加。ベッドタウンとして年々人口が増えている。商圏人口が増加しているにもかかわらず、なぜ西武船橋店は閉店に追い込まれたのか。

背景にあるのがショッピングモールの台頭による競争激化だ。船橋近郊では2012年にイオンモール船橋が、2013年にはイオンモール幕張新都心が相次いで開業。また、2015年には三井アウトレットパーク幕張が増床したほか、同年にはららぽーとTOKYOーBAYが改装した。

■駅反対にあるライバル店の存在

こうしたモール群に、家族客を中心に顧客が流出した面がありそうだ。船橋市に在住する30代女性は「学生時代はバーバリーのマフラーを買ったり、西武にお世話になっていた。今、服を買うのは十中八九、ららぽーとになった」と語る。別の30代女性は「近隣のショッピングモールはテナントが多く、子どもを遊ばせながら買い物ができる」と述べる。

さらに別の要因として考えられるのが、ライバル店の攻勢だ。西武船橋店の開店から10年後の1977年。西武船橋店がある船橋駅南口とは反対の北口に、東武百貨店 船橋店が開業した。JR船橋駅、東武アーバンパークライン船橋駅双方の改札口からアクセスしやすい立地にある。

船橋東武の利用客からは「東武は西武より船橋の雰囲気に合っており、入りやすい。安いイメージもある」(60代女性)という声が聞かれたほか、「食品はテナントが多い東武で購入する」(別の60代女性)と話す常連客もいた。

船橋東武の合谷俊一店長は「駅直結ということもあり、地域に密着しデイリー性のある百貨店を目指していることが支持されている。日常に取り入れやすい衣料や雑貨、食品フロアは力を入れてきた」と話す。

ただ、地域一番店の東武といえども安泰ではない。2016年度の売上高は391億(前期比3.6%減)と西武船橋の倍以上だが、売上高は年々減少傾向にある。「近隣のららぽーとやイオンには映画館など、エンタメ性のある要素もある。同じ土俵では戦えないが、われわれも多様性や楽しさという要素をもっと取り入れていく必要がある」(合谷店長)。2017年11月には婦人服売り場を縮小し、ビックカメラを誘致するなど集客に力を入れている。

他方、西武船橋店の閉店について、合谷店長は「切磋琢磨してやってきたので閉店は残念だ」と語る。

今回の西武船橋店の閉店で困惑しているのは地元の住民だけではない。

船橋市は西武船橋店のある船橋駅南口の再開発を進めてきた。2月9日にはジェイアール東日本都市開発が手掛ける複合商業施設「シャポー船橋」

以下省略

■西武の跡地はどうなるのか

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2018年02月28日
東洋経済オンライン
http://toyokeizai.net/articles/-/210558