事業を停止した農民の家
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宮城県大崎市鳴子温泉で温泉保養施設を運営する県農民の家農協(菅原章夫組合長)は28日、事業を停止し、仙台地裁古川支部に破産手続きの開始を申し立てた。同支部は同日、手続き開始を決定した。全国唯一の温泉専門農協は、設立から69年で歴史に幕を下ろす。
菅原組合長と代理人によると、負債総額は約1億4100万円。職員とパート55人は同日付で解雇した。事業総利益のピークは1995年度の約6億円。施設の老朽化や価格競争の影響で利用者が減り、2016年度は約2億円に落ち込んだ。
 
近年は年間400人を超す組合脱退者への払戻金もかさみ、資金繰りが悪化。利用客参加型のイベントなどを展開し、経営の立て直しを図ったが、収支は改善せず、電気・水道代や固定資産税も払えなくなった。債務超過額は1億円超とみられ、組合員への出資金払い戻しはできない見通し。
農民の家農協は1949年、戦後の農民運動を通し、農業従事者の農閑期の保養などを目的に設立された。組合員は約4万4000人で、客室数317室は鳴子温泉郷で最大規模。16年度は宿泊、日帰り計約6万3000人が利用した。
 
菅原組合長は取材に対し「さまざま手を尽くしたが、苦渋の選択に至った。非常に残念だが、農民の憩いの場としての役目を終えた」と述べた。
温泉保養施設では28日午前、従業員が宿泊客約50人に事情を説明した上で、破産手続きの申し立てを知らせる文書を入り口に張り出した。

2018年03月01日木曜日
河北新報
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