名古屋市交通局が、市営地下鉄1日乗車券の「24時間券」化を予定しています。24時間券はすでに東京メトロなどでも導入されていますが、どのような効果があるのでしょうか。

■「大がかりな改修」を経て2019年度導入

 名古屋市交通局が、市営地下鉄1日乗車券(以下、1日券)の「24時間券」化を予定しています。2018年2月9日に発表された市の2018年度予算概要に、それに向けた「機器の改修等」という項目が盛り込まれました。

名古屋市交通局によると、これまでの1日券は、午前から使用を開始しても、夕方から使用を開始しても、その日の終電まで有効でした。これを、使用開始から24時間有効にするといいます。同局に詳しく聞きました。

――24時間券化は、どのような券が対象なのでしょうか?

 これまでの「地下鉄全線1日乗車券」を24時間制とします。磁気カードタイプのものと紙のきっぷ、双方が対象で、値段も大人740円、子ども370円で据え置きます。「バス・地下鉄全線1日乗車券」や「ドニチエコきっぷ」など、バスも対象とする乗車券については従前のままです。

――なぜ導入するのでしょうか?

 観光客の利便制を高める目的で、市会でもこの24時間券化について答弁しました。午後に名古屋へ到着した人にとっては、効果が大きいと考えています。

――いつごろ導入するのでしょうか?

 2018年度に機器の改修を行い、2019年度に導入する見込みです。発券機および駅改札機を24時間券に対応させることとなりますが、従来の磁気券情報の伝送方式では容量が足りず、新たな方式を導入しますので、やや大がかりな対応となります。

■東京メトロでは売上げ大幅増

 24時間券はすでに、東京メトロで2016年3月に導入されています。同社も24時間券の値段は、それまでの1日券と同じ大人600円(子ども300円)のまま。東京メトロによると、2015年度における1日券の売上げに対し、2016年度における24時間券の売上げは36.7%増加したといいます。ただし「この増加の要因が24時間券化によるものなのかどうか、厳密に分析できているわけではなく、単純な比較はできませんが」としています。

東京メトロの「24時間券」(左が前売り券、右が当日券)。有効期限の表示が、〇年〇月〇日の〇時〇分までとなっている
https://contents.trafficnews.jp/image/000/016/529/180219_24ticket_02.jpg

「(従来の1日券の)ご利用シーンを広げて、利便性を向上させる目的で導入しました。『夕方から使い始めて、翌日のお出かけにも使えるので便利』『以前は朝早くから出かけて使うようにしていたが、行動時間にも気持ちにもゆとりができた』『金曜夜の会社帰りから使い始めて、土曜日は家族と使っている』といったお声があります」(東京メトロ)

 東京メトロでは、利用者からの24時間券への要望を以前から認識していたものの、相互直通運転を行っている全事業者に影響することもあり、その調整や機器改修に時間を要したそうです。なお、都営地下鉄との共通乗車券については、外国人旅行者および首都圏1都7県以外からの利用者に対し発売している「Tokyo Subway Ticket」(24時間券、48時間券、72時間券の3タイプがある)を除き、現在も24時間制にはなっていません。

 ちなみに、東京メトロに先駆けて1日券を24時間券化した事業者があります。「ゆいレール」を運営する沖縄都市モノレールで、同社によると2011(平成23)年2月にこれを導入した当時、国内でほかの導入例を見つけられなかったとのこと。「運賃改定(値上げ)のタイミングで、お客様への還元を目的に新たなサービスとして導入しました」といいます。夕方に沖縄へ着いて、翌日も朝から利用できるという使い勝手のよさが、旅行者のあいだで好評だそうです。

2018.03.02
乗り物ニュース
https://trafficnews.jp/post/79745