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3月3日 4時12分
優生保護法のもとで障害などを理由に強制的に不妊手術が行われていた問題で、NHKが全国の都道府県に調査した結果、6つの道と県が手術を受けた人などの資料をプライバシーに配慮したうえで、自主的に公表したり公表を検討したりしていることがわかりました。専門家は「当事者が声を上げるきっかけになり救済にもつながる」として、自治体による情報公開の重要性を指摘しています。

厚生労働省によりますと、昭和23年から平成8年まで施行された優生保護法のもとでは、精神障害や知的障害などを理由に全国でおよそ1万6000人が、本人の同意なく強制的に不妊手術を受けたとされています。

NHKが全国の47の都道府県と公文書館にアンケート調査を行った結果、手術を受けた人などの資料が、25の道府県で合わせて3299人分残されていることがわかりました。

さらに、その扱いについて尋ねたところ、北海道、宮城県、愛知県、奈良県、大分県の5つの道と県が、個人のプライバシーに配慮したうえで自主的に公表すると回答し、福島県が公表を検討していることがわかりました。

一方で、秋田県と群馬県、和歌山県の3県が公表しないと回答し、16の府と県が未定だとしています。

こうした動きについて優生保護法に詳しい東京大学大学院の市野川容孝教授は「公表の前に記録を保全したうえで積極的に情報を開示することは大事な動きだと思う。当事者は手術を受けたことを口にできず孤立しているため、声を上げるきっかけになり救済にもつながる」と話し、自治体による情報公開の重要性を指摘しています。