■ 日本には「小さな政府」の選択肢がない

 政治的には保守派とみられている安倍首相がリベラルな経済政策を取るのは、一見すると奇妙にみえるが、そこには一貫性がある。
彼の祖父、岸信介は戦前の満州で国家社会主義の「革新官僚」だった。大政翼賛会を取り仕切ったのは、朝日新聞の緒方竹虎などのリベラルだった。

 革新官僚とリベラルの共通点は、社会を計画的に運営して国民を戦争に動員しようとすることだった。そして総動員体制のためにできたのが厚生省である。
1930年代に疲弊した農村を救済する社会政策の一環として国民健康保険ができ、内務省の外局だった社会局が衛生局とともに分離され、1938年に厚生省となった。

 近衛文麿首相は、日中戦争の危機に「国民一体」となることを呼びかけて社会政策を推進し、労働者年金(のちの厚生年金)が設立された。
その最大の目的は兵士の士気を向上させて戦争に動員するパターナリズム(家父長主義)だった。

 働き方改革でも一貫しているのは、厚生労働省のパターナリズムである。これは役所が慈愛あふれる父親として企業の雇用に介入しようという発想だが、
その恩恵を受けるのは「企業一家」のメンバーたる正社員だけである。

 この点で安倍首相のパターナリズムは、厚労省などの役所と親和的である。
それは戦後も国民を高度成長に総動員する上では役に立ったが、もはや前代の遺物である。
ところが日本では、野党も規制強化のパターナリズムだ。日本には「小さな政府」を掲げる政党がないのだ。

 それは政治的には不人気なので、やむをえない面もあるが、社会保障が行き詰まるのは時間の問題である。
安倍政権は問題を先送りしているうちに、団塊の世代が後期高齢者になる「2025年問題」を乗り超えるチャンスを逃した。
2020年代後半から医療費は激増し、年金積立金は2030年代に底をつく。

 安倍首相のリベラルな政策は民主的だが、祖父の志とは違う。岸信介は1960年に安保条約の改正後に退陣するとき、
「改正の意味は50年たてばわかる」と言ったという。首相の仕事は、そういう「国家百年の計」を考えることではないだろうか。

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180302-00052489-jbpressz-pol&;p=2
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180302-00052489-jbpressz-pol&;p=1
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180302-00052489-jbpressz-pol&;p=2

1の日時  2018/03/03(土) 11:38:12.49
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