善光寺大勧進(長野市)の小松玄澄貫主(げんちょうかんす)(84)が職員に差別的な発言やセクハラをしたとされる問題で、「しかるべき時期」の退任を表明していた小松貫主は9日、退任の撤回を表明した。同日、善光寺周辺の宿坊でつくる天台宗一山の住職ら11人を、虚偽の事実を流して辞任を迫ったとして、業務妨害と強要の疑いで長野地検に告訴した。

 長野市内で記者会見した小松貫主は、退任撤回の理由について、大勧進内の業務が乱れており「正常化する任務が残っている」と説明。代理人弁護士によると、大勧進を統括する天台宗務庁(大津市)の宗務総長宛てに、貫主の辞意を撤回する文書を送ったとした。

 告訴状は、一部住職らが2015年11月上旬ごろから、貫主がセクハラや差別発言をしたとする虚偽の事実を流し、本堂への出仕(昇堂)禁止を迫るなど業務を妨害したと主張。16年6月に貫主の辞任を勧告、強要したなどとした。

 小松貫主を巡っては、天台宗一山の住職代表らが16年6月に昇堂停止を要求。貫主は差別発言を否定しつつ、昇堂を自粛した。今年1月、小松貫主は記者会見で「しかるべき時期」の退任を表明し、昇堂を約1年半ぶりに再開。一山の住職らも、退任を条件に昇堂を了承していた。

 小松貫主が辞意を撤回する文書を送ったとした天台宗務庁は「担当者がおらず答えられない」としている。長野地検は、告訴状の受理について「これから検討する」としている。


信濃毎日新聞 3月10日
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