「田舎者の憧れ」
100本のシャンパン、計980杯ものグラスを使用して設置された7基のシャンパンタワー。
その奥には「ハッピーバースデー」の電飾が輝く。
平成26年2月。その日はカリスマホスト、トシユキ(仮名)の誕生日だった。
 「大きすぎる出費だけど、2人の将来のためと自分に言い聞かせた」
マユミはそのタワーのために、500万円を支払った。幸せのまっただ中にいた。
京都府の山間部出身。管理栄養士を目指して大阪府内の大学に進学後
大阪市内のキャバクラでアルバイトを始めた。「田舎者なので、都会の夜の世界に漠然とした憧れがあった」
トシユキと出会ったのは、大学2年生だった25年1月。ホスト遊びに慣れた同僚に連れられ
ミナミの中心部でホストクラブが多数入居するビルを訪れた。

ホストホストしていない−。トシユキの第一印象をマユミはそう表現する。
「細面、金髪」のような、描いていたイメージとは違い、あどけない顔立ちをしていた。
「緊張してうまく話せない」と、照れくさそうに話す姿が微笑ましかった。
当時、大学は長期休暇に入り、マユミは時間をもてあましていた。
大阪城公園で昼間のお散歩デート≠重ねたりする中ですぐに親密になり、肉体関係を持った。
1人暮らしの部屋には、瞬く間に彼の服や生活用品が増えていった。
「きょう婚姻届もらってくる!」
当時普及し始めたばかりのLINEにトシユキからメッセージが届いた。
近い将来の結婚生活を想像して胸がいっぱいになった。
一晩で貯金使い果たし…
「万年2位」で、どうしてもトップになれない−。関係が深まるにつれ、仕事の愚痴を聞かされることも増えた。
「店のナンバーワンになり、独立して経済力を身につけた上で結婚する」と訴えるトシユキの力になりたかった。
初来店から約1カ月後、初めてセット料金外で、シャンパンを注文した。
店員総出の「シャンパンコール」に高揚し、1本、もう1本と追加注文の催促に応じた。
嘔吐(おうと)し、記憶をなくすまで飲酒した生まれて初めての夜。
一晩で約70万円を支払い、貯金のほとんどを使い果たしてしまう。

 「店には風俗嬢のお客さんも多いんだ」

 「自分は風俗への偏見はまったくないよ」

トシユキとの会話を思い出しながら、神戸・福原のソープランドの門をたたいたのは直後のことだ・・

以下続く
http://www.sankei.com/west/news/160404/wst1604040003-n3.html