手を使わずに自動で目薬をさしてくれるロボットを、金沢工大工学部情報工学科を今月卒業した成宮陽生(なるみや・はるき)さん(22)=石川県白山市=が開発した。デジタルカメラなどに使われる顔認識技術を生かし、上を向いて声で指示すると目薬を落としてくれる仕組み。昨年開かれた国内最大級のロボット展示会で高く評価され、高齢者や手が不自由な人などへの活用も期待されている。

 ◇金沢工大生が開発

 ロボットは高さ174センチ、幅54センチ、奥行き49センチのアルミ製。内側の椅子に座って上を向き、小型マイクに「右」「左」と目薬を落としてほしい目を伝える。すると、頭上のウェブカメラが顔と鼻の位置から目の場所を検知。超音波センサーで目までの距離を測り、目薬が移動する。顔が0.5秒静止したのを確認し、1滴を落とす。

 開発のきっかけは大学のリポート作成に追われている時だった。コンタクトレンズを使用していて目の疲れに悩んでいた。「パソコンから手を離さずに目薬がさせたら」。卒業制作で実現させようと、昨春から取り組んだ。研究室に深夜まで残って改良を重ねた。

 昨年11月、国内外の企業・団体が最新技術を披露する「2017国際ロボット展」に出展。子供や外国人が興味津々、医療関連の企業や専門家から「買い取りたい」「寝ている患者に利用できるのでは」と評価された。

 その後も、1滴だけ確実に落ちるように圧力を調整するなど、卒業まで精度を高めた。それでも「目薬から目までの距離が遠すぎて利用者には少し怖いし、見た目もよくない」と、満足していない。

 指導した中沢実教授は「自由な発想で開発を進めたのが良かった」。成宮さんは4月から、ソフトウエア開発などを手掛ける名古屋市の会社で技術職として働く。「自分が開発した仕組みを後輩が応用して、実用性のあるロボットを作ってくれたら」と期待する。【石川将来】

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