理化学研究所は、神戸市にある理研の「多細胞システム形成研究センター」(CDB=Center for Developmental Biology)と、大阪や横浜に分散する理研の他機関を統合し、生命科学分野の研究機関としては国内最大規模の新組織に再編する方針を決めた。研究員は600人を超える見通し。近く文部科学相の承認を得て、4月1日付で発足させる。

 新組織の名称は「生命機能科学研究センター」(BDR=Center for Biosystems Dynamics Research)で、STAP細胞の論文不正で揺れたCDBの体制を名実ともに一新させ、研究力強化と不正防止策の徹底を図る。

 CDBは2000年、政府の肝いりで「発生・再生科学総合研究センター」として設置された。生物が生まれる過程の解明や再生医療に関する国際的な研究拠点として知られ、14年にはiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った網膜細胞を患者に移植する世界初の手術を実施。同年発覚したSTAP細胞を巡る不正を受け、現在の名称に変更されたが、海外でも知名度が高かった英語表記の「CDB」は変えなかった。

 理研は、超高齢化社会に対応するため、老化の仕組みまで研究の対象を広げた新組織の再編案を今月1日、文科省に申請した。案では、CDBと、生命活動を計測する高い技術で実績のある「生命システム研究センター」(大阪府吹田市)、「ライフサイエンス技術基盤研究センター」(横浜市など)の3機関を統合する。

 新センター長は神戸の施設に配置し、研究者への倫理教育や実験データの適切な保管などの不正防止策を徹底する。理研の小安重夫理事は「色々な分野の研究者が一つのセンターで連携することで、老いの仕組みの解明など新たな研究領域を開拓したい」と話した。

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