自ら考案した改良型の救命浮輪を手にする日高巡査部長。側面の溝がリールの役割を果たす=小牧市の県警機動隊で
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県警機動隊の日高裕介巡査部長(41)が、溺れた人に投げてつかまってもらう救命浮輪の改良型を考案した。従来品に比べ飛距離は二倍近くで、狙いも付けやすい。県警は実用化を検討する方針だ。

改良型は発泡スチロール製で、浮輪の側面に設けた溝がリールの役割を果たし、ロープを収納できる。スナップをきかせて投げるとヨーヨーのように遠心力が生まれ、二十メートル近く飛ぶようになった。

考案のきっかけは、訓練で同僚が投てきに失敗して浮輪が足元に落ち、失笑してしまったことだった。「一生懸命投げているのに、場違いに笑ってしまった。この落差は何だろう」。心の引っかかりを、誰でも失敗せずに投げられる浮輪の開発につなげた。

従来品はロープが浮輪に垂れ下がっており、投げる際に絡まったり、ねじれたりすることがあった。溝に収納することで、スムーズにロープが送り出されるようになった。

機動隊では潜水を担当しており、水中で遺体を捜索したこともある。「沈んでしまう前に助けることができれば」との思いも開発を後押しした。

ホームセンターで購入した発泡スチロールを円形に切り、三枚重ねるなどして手作りした。ロープの端に持ち手を付けたり、見えやすくするために反射テープを張ったりして、細かな改善を重ねて使いやすくした。

改良型は優れた業務改善の取り組みとして知事表彰を受けた。日高巡査部長は「いざという時に使うものだけに、失敗は許されない。確実性を高めることにつながれば」と話す。(立石智保)

2018年4月3日
中日新聞
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