北海道内でエゾシカなどの狩猟をする若手ハンターが増えている。道によると、20〜30代の狩猟免許所持者は最近10年で約3倍に増え、2500人以上に達した。「シカによる農林業被害を減らしたい」「新鮮なシカ肉を自分で調達して料理したい」など、ハンターを目指す理由はさまざま。実際、シカの食害は減少に転じたほか、野生鳥獣肉(ジビエ)ブームを背景に、シカ肉の流通拡大への期待も高まっている。(経済部 五十地隆造)

 3月下旬、記者は日高管内様似町の石材業、遠藤祐樹さん(35)のエゾシカ猟に同行した。午前9時すぎに雪が解けた町内の山林に車で入り、シカを探した。

 3時間たった正午ごろ、約100メートル先の斜面にエゾシカを見つけた。遠藤さんは散弾銃を抱えて静かに車を降り、約30メートルまで近づく。シカは目が合っているが、逃げない。銃を構え、ドンと急所の心臓を1発で撃ち抜いた。体長1メートル数十センチ、体重30キロ程度と小ぶりな1歳半ほどの雌だった。

 遠藤さんが狩猟免許を取得したのは20代だった2008年。地元でエゾシカが牧草地などを食い荒らす被害が深刻化し、これを食い止めたいと取得を決めた。休日に猟に出かけ、シカやヒグマなどを年間約100頭捕獲する。町に引き渡すと、有害鳥獣駆除の補助金としてシカやクマ1頭当たり1万円を受け取ることができ、「副業としても成り立っている」という。

 道によると、狩猟免許の所持者は、現行免許制度が始まった1979年度に1万9300人に上ったが、高齢化などで減り続け、06年度には8500人と半数以下に。その後、持ち直して最新統計の16年度は1万1300人だった。特に増えているのは20〜30代の若手で、06年度の883人に対し、16年度は2・9倍の2585人に達した。

 こうした背景には、エゾシカの生息エリアの広がりとともに、農作物の食害も道内各地に拡大し、被害防止のため、若手農業者らが狩猟を始めていることなどがある。道によると、ハンターの増加とともにエゾシカの捕獲頭数もここ数年、06年度の2倍前後の12万〜14万頭台で推移。シカによる農林業被害はピークの11年度で64億円に上ったが、16年度は39億円に減った。

 ジビエやアウトドアのブームも若年層が狩猟に関心を持つきっかけになっているようだ。12年に設立し、若手を含む道内各地の女性約50人でつくる狩猟団体「ツイン」の松浦友紀子会長(43)は「脂身の少ないシカ肉は食べやすく、太りにくいと女性に人気。飲食店などでおいしさに目覚め、食べたいからハンターになる女性も多い」と話す。

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