岩手大の宮崎雅雄准教授らの研究チームは、ネコのふん特有の悪臭物質を特定したと発表した。白ワインの成分に含まれる「ネコのおしっこ」と呼ばれる臭い物質に似た有機化合物で、雄ネコが縄張りを示すのに役立っているとみられる。

 10日付の科学誌「ジャーナル・オブ・ケミカル・エコロジー」に発表した。チームは、ネコのふんに含まれる悪臭物質のうち、ネコ以外の動物のふんにも含まれる脂肪酸などを除いて、ネコ特有の悪臭物質を取り出し、化学構造の特定に成功した。ワインの原料になるブドウ「ソービニヨン・ブラン」などに含まれる臭い物質に近く、雄のふんに特に多く含まれていることも突き止めた。

 さらに、この物質が仲間の識別に重要なことも確かめた。ふんを銅など金属イオンを含む水に浸すと、ほかの臭いは消せないが、ネコ特有の悪臭成分が揮発しなくなり、臭いが和らぐ。雄ネコ6匹に水に浸した別の雄ネコのふんを嗅がせ続けると臭いに慣れて次第に嗅ぐ時間が減っていくが、銅イオン水に浸したふんを出すと嗅ぐ時間が再び増えた。臭いの違いを嗅ぎ分けようとしているとみられるという。

 宮崎准教授は「ネコ同士のコミュニケーションへの理解を深めるだけでなく、悪臭を和らげる技術にも生かせるだろう」と話した。(杉本崇)
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