>>136
無罪だってばよー

本件公訴事実は、「被告人は、昭和五六年七月五日午後一〇時二〇分ころ、千葉県市川市田尻四丁目※番※※号先路上にお
いて、被害者(当時三一年)に対し、その右顔面付近を足蹴にして、同人をコンクリートの路上に転倒させる暴行を加え、
よって同人に頭蓋骨骨折等の傷害を負わせ、よって、同月一三日午前一一時二五分ころ、同市二俣一丁目二番五号所在の中
沢病院において、同人をして右傷害による脳硬膜外出血及び脳挫滅により■死亡■するに至らしめたものである。」というので
ある

急迫不正の侵害がないにも拘らず、被告人は、被害者とB子が揉み合う状態から、同女がシャッターにぶつかり大きな音
をたてて転倒したのを目撃し、助けを求める同女の叫びで同女の側まで近寄って助け起こそうとした際、同女から「ヘルプ
ミー、ヘルプミー。」と助けを求められたので、被害者の方に向きを変えたところ、同人がいわゆるファイティングポー
ズのような姿勢をとり、被告人と対峙した形となったため、右一連の状況から、それまでの経緯や被害者とB子との間柄
を知らない被告人は、被害者がB子に暴行を加えていると思い違いをしたうえ、更に自己にまで攻撃を加えようとしてい
るもの、即ち、B子及び自己の身体に対する急迫不正の侵害があるものと誤想してB子及び自己の身体に対する防衛行為と
して被害者に対し左回し蹴りを行ったものである

以上の次第で、被告人の本件行為は、誤想防衛に該当して、故意が阻却され、またその誤想したことについて過失は
認められないので、結局被告人の本件行為は罪とならないものと言わなければならない
 よって、刑事訴訟法三三六条により、被告人に対し無罪の言渡しをする