慢性的な睡眠不足によって、脳は「自己破壊」する:研究結果

慢性的な睡眠不足が、脳内の「食作用」を担う細胞を活性化させ、
シナプスの分解を促進させる、という研究結果が発表された。
さらに睡眠不足は、アルツハイマー病などの神経変性疾患を引き
起こすリスクも高くする可能性があるという。

何日も眠らない日が続くと、次第に考えがまとまらなくなり、まったく
仕事や勉強ができなくなる──。そんな経験を、あなたもしたことが
あるかもしれない。睡眠不足が続くと、気力も体力も思考能力も著しく
低下してしまうのを実感するが、さらに恐ろしいことが脳内で引き起こ
されていることが、マウスを使った研究により確認された。

一言でいうと、それは「脳細胞の自己破壊」だ。

睡眠不足で「シナプスが食われる」

マウスの脳におけるアストロサイトの活動は、これら4つのグループで大きく異なっていた。
実験の結果、安眠グループのアストロサイト活性が5.7パーセントだったのに対し、安眠妨害
グループは7.3パーセント、睡眠不足グループは8.4パーセント、慢性的睡眠不足グループは
13.5パーセントと、睡眠が不足するにつれてアストロサイトがより活動的になっていることが
わかった。これは寝不足が引き金となってアストロサイトを活性化させ、シナプスの接続や
それらの残骸をより多く分解してしまうことを示唆しているという。

実際に、慢性的睡眠不足グループのマウスのシナプスを調べてみると、よく使われる「ハブ」
となっている成熟したシナプスほどアストロサイトの標的となっており、より多くの分解が行わ
れていることがわかった。

覚醒時間の延長に伴い、脳神経活動により蓄積された分子的副産物もまた増加する。
研究者らは、アストロサイトの清掃管理機能(もとい食作用)が、より使用頻度の高い
シナプスに対応した結果なのではないかと推測している。

つまり寝不足が続くと、脳神経同士を繋いでいるシナプスの一部が、アストロサイトに
文字通り食われてしまうのである。
https://wired.jp/2017/08/13/lack-of-sleep/