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糸島市・伊都の杜(もり)地区で進められていた土地区画整理事業がほぼ完了した。
大規模住宅街として整備された20・2ヘクタールに今後5年ほどで約700戸2千人が住む見込み。
目の前には来春、開業を目指してJR筑肥線の新駅整備工事も進む。国内の多くの自治体で
人口減少が進む中、移住人気の高い糸島市に新たな街が生まれつつある。

土地区画整理は1991年、農業後継者不足を心配する地元住民がまちづくりの勉強会をつくったのがきっかけ。
農地を転用し福岡市のベッドタウンとすることで地域活性化を目指した。JR九州の新駅設置を前提としていたが、
バブル崩壊などもあり協議は難航。土地造成や住宅メーカーとの窓口を担う事業代行会社が撤退するなど事業は頓挫しかけた。

しかし、追い風になったのが2010年1月の3市町合併による糸島市の誕生。農水産品やグルメなどの「糸島ブランド」が浸透し、
大手ゼネコンの清水建設が事業代行会社となった。翌年には「前原東土地区画整理組合」として設立認可が下りた。

難航していた新駅設置も移住人気の高まりで、近隣駅の乗降客が増加傾向にあることから、13年に設置が正式決定した。
今年10月に住居表示が「伊都の杜」に変更され、本年度末に事業は完了する。総事業費は約35億6千万円。

3月末現在、入居者は220世帯755人。組合によると、入居者の8割が30〜40代の子育て世代で半数以上が市外からの移住。
遠くは札幌からの移住者もいる。同市で初めて西部ガスが都市ガスを供給、経済性が高く環境に優しい家庭用燃料電池
「エネファーム」を63戸が利用している。6千トンを貯水できる雨水調整池機能を持つ芝生公園(約1・1ヘクタール)も備える。
組合は今月9日、公園を管理する市に芝刈り機などを寄贈した。

組合の柴田昭生理事長(79)は「市や関係者の協力でここまで来た。未来を担う子どもたちが増え、
市の活力につながる街になってほしい」と話している。