額が少なく、手軽に始めやすいことなどから、今、市場が急拡大し、新規参入が相次いでいる「ミニ保険」。そうした中、糖尿病患者向けのミニ保険を扱う会社が、決算を粉飾していたことが、FNNの取材でわかった。会社は、不正を認め、金融庁に報告した。

東京・新宿区の「エクセルエイド少額短期保険」は、糖尿病患者向けのミニ保険を扱い、およそ6,000件の加入数がある。

この会社の社員によると、会社が赤字に苦しんでいた2013年から翌年にかけ、この社員は、当時の社長に「金融庁に黒字化を約束したから」と迫られ、加入者への保険金100件分以上、あわせて1,150万円を個人負担で支払わされたという。

エクセルエイド社の社員は「(当時の社長が)金融庁とも『いついつには、黒字にしますと約束をした』と。『そんなの、自分でなんとかするしかないんだ』、『会社からはもう払えないんだ』と、かなり強い口調で言うこともありますし」、「『払わなければ会社がつぶれる』と、『だから、どうにかしろ』と」と話した。

そして、社員の個人負担での支払いにより、会社の決算書は、一部は修正されたものの、赤字額が実際より少なく粉飾されたままとなっているという。

当時の社長が、社員に不正を迫る様子は、音声で記録されていた。

「(赤字が続くと)どういう形で、行政(金融庁)が言ってくるかね。全部個人で負担してもらうしかないけど。230万円調整しろって言ったんだよ。どれだけ自分たちが犠牲を払うかってこと。どういうふうに損失を補てんするかってことですよ。そんなの当たり前」。

ミニ保険は、糖尿病患者でも加入できる保険やペット保険など、特定のニーズをとらえることで市場が急拡大し、新規参入が相次いでいる。

この制度は2006年に始まったが、保険金額を低く抑えることで、緩やかな加入条件で参入が認められている。

一方で、金融庁の監督を受ける必要があり、予定通りの黒字化が事業成功のカギとなっている。

エクセルエイド社は、過去の社員による個人支払いと粉飾決算を認め、3月、金融庁に報告した。

当時の社長はFNNに対し、「取材は断ります」と話している。

また金融庁は、「個別業者についてのコメントは、差し控えます」としている。

金額が少ないとはいえ、公共性の高いミニ保険事業。

業界が急拡大する中、金融庁は、今回の不正を見抜けておらず、チェック体制の構築が求められる。

4/19(木) 13:29
フジテレビ系(FNN)
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