大型連休ではしか感染拡大の恐れ「ワクチン2回接種を」

 大型連休を前に、厚生労働省が感染症予防を呼びかけている。今年はとくに海外から訪れた人が感染源となって、はしか(麻疹)にかかる人が沖縄を中心に急増。人の行き来が増える連休に感染が広がる恐れがあり、専門家は適切なワクチン接種を勧めている。

 はしかはウイルス性の感染症で高熱や発疹が出る。感染力が強く、患者のせきやくしゃみを浴びた場合だけでなく、空気中のウイルスを吸い込んでもうつる。予防接種の普及で、2015年に流行を抑え込む「排除」を達成した。だが、東南アジアなど海外からの帰国者や訪日客が持ち込む例が相次いでいる。国立感染症研究所によると、昨年ウイルスを検出した163例のうち海外渡航歴があったのは38例だった。

 今回流行している沖縄県も、台湾からの旅行者が感染源だった。訪日前にタイを旅行しており、そこで感染したとみられる。4月20日時点で沖縄県内でこの旅行者と接触のあった人やその家族、同僚など患者数は計67人に上る。11日には沖縄に行った名古屋市の男性もはしかと診断された。

 感染研感染症疫学センターの多屋馨子室長は「連休で人の行き来が多くなり、感染が拡大する可能性がある」として、ワクチンの2回接種を呼びかけている。1回だけでは約20人に1人は免疫がつかない例があるとされる。沖縄県内の感染者も接種歴が「無し」「1回」「不明」が約8割を占めた。

 日本では06年に1回だった定期接種を2回に増やした。その後、定期接種が1回だった世代の一部にも追加接種をして、1990年4月2日以降に生まれた人の多くは免疫がある。それ以前は、はしかに感染していなければ免疫が十分でない恐れが強い。幼少期にかかったことがある人も、記憶に頼らず抗体検査で確かめることが大切だ。

 風疹との混合ワクチンの任意接種と抗体検査は全額自己負担。それぞれ1万数千円と数千円かかるが、独自に助成する自治体もある。接種後2週間は発熱や発疹の可能性がある。多屋室長は「人が集まる場所に行く場合は、早めの接種が望ましい」と話す。(水戸部六美)

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