◆【ビジネスの裏側】ヘアドライヤーにも時短の風 速乾性アップ、頭皮のケアやマッサージも

ヘアドライヤーの機能が多様化している。
手に持たずに置いたまま髪を乾かせるタイプや頭皮をケアしたり、放出された保湿成分で髪がまとまりやすくなる商品などが登場し、人気を呼んでいる。
仕事や育児で忙しくても楽しむ時間を捻出したいという「時短」ニーズの高まりに加え、ヘアサロンやエステで使われるような機能を備えている点も働く女性らの心をつかんでいるようだ。

■両手が自由に

アイリスオーヤマ(仙台市)が昨年8月に発売した「置き型ドライヤー HDR−S1」(参考価格は8618円)は、テーブルの上に置いたまま利用でき、両手が自由に使えるのが特徴。
「ドライヤーを使用しながら他の作業をしたい」という顧客の要望から考案した。
「ドライヤーで髪を乾かしている時間を、スマートフォンの操作や読書、スキンケアなどに充てることが可能」(担当者)だ。

パナソニックの「EH−NA99」(店頭想定価格は2万3千円前後)は、ノズルの改良により、速乾性能をアップさせた。
乾燥スピードは同社の従来品比で約15%向上したという。

水で包まれた微粒子のイオンで髪の水分バランスを整える「ナノイー」も従来品に続いて搭載。
温風と冷風を交互に強弱をつけて出すことで髪をほぐし、ダメージが蓄積しやすい毛先にまとまりやツヤをもたらす機能なども供えている。

家電量販店「ビックカメラなんば店」(大阪市中央区)でドライヤー売り場を担当する佐久間瑞穂さんは「忙しい生活を送る働く女性を中心に、効率良く髪や肌のケアを行いたいというニーズが高まっている」と話す。
同店でも「忙しい朝や疲れて早く眠りたい夜などに、髪を乾かす煩わしさを軽減できるような、速乾機能を売りにしたドライヤーの人気が高い」という。

■高くても人気

髪を乾かす以外の機能を持ったドライヤーも多い。
シャープの「プラズマクラスタースカルプエステ IB−HX9K」(同2万7千円前後)は、髪を乾かしながら頭皮をケアできるのが売りだ。
人の手のような形状をした付属の器具を使い、生え際から頭頂部にかけてすべらすように動かしてマッサージをすることで、効率よく頭皮にイオンを届けることができる。

テスコム電機(東京)の「コラーゲンイオンヘアードライヤー TCD5100」(同2万1500円前後)は、独自技術により、髪の乾燥を防ぐため、保湿成分のコラーゲンをドライヤーから放出できるようにした。
「髪だけではなく、顔の保湿や頭皮のケアにも使える」(同社)という。

コードレスのサイクロン掃除機や羽根のない扇風機など革新的な家電を開発してきたダイソンは平成28年に、4万円を超える高級ドライヤーを世界に先駆けて日本に投入。
国内メーカーも商品開発に力を入れており、1万〜2万円程度の高価格帯の高機能ドライヤーが市場を牽引(けんいん)している。

「ドライヤーなどの美容家電は訪日観光客にも高い人気を誇っている」(佐久間さん)。
パナソニックは昨年9月、訪日客が多く訪れる東京・銀座に、美容家電を体験できる展示場「パナソニックビューティサロン銀座」をオープン。
訪日客も含めたブランド認知度の向上や多様化する需要の取り込みを図っている。

写真:「時短」ニーズの高まりなどを受け、速乾機能を売りにしたドライヤーが人気だ=大阪市中央区のビックカメラ
http://www.sankei.com/images/news/180426/wst1804260003-p1.jpg

産経WEST 2018.4.26 08:00
http://www.sankei.com/west/news/180426/wst1804260003-n1.html