※続きです

■マルサの手法も争点に

 このほか弁護側は、事件の端緒となった「マルサ(国税査察官)」の調査の妥当性も争点としている。

 出廷した大阪国税局の査察官は、別の脱税事件の調査でインターネット銀行に顧客情報の開示を受けた際、多額の残高がある被告の口座を偶然発見し、その後の調べで、競馬の所得を申告していなかったことが分かった、と説明した。

 これについて弁護側は「査察官が本来の目的を逸脱して口座情報を得た」と批判。いわゆる「横目調査」や「悉皆(しっかい)調査」が行われたと主張した。

 これらの調査は、国税職員が金融機関で口座情報を調べる際、対象以外の情報を盗み見たりすることを指す。弁護側は「違法に収集した証拠」と証人尋問で査察官を追及したが、査察官は違法性を否定。ただ、具体的な調査手法については守秘義務を理由に「お答えできない」と繰り返した。

■「脱税額大きく起訴は正当」

 裁判所は課税の公平性や国税調査の是非をどう判断するのか。

 検察側は論告で「ほかの事件と同様、悪質さや犯意の強固さ、被告の事情や犯行後の状況などを考慮して処分を決めている」と述べ、公平な事件処理をしていると主張。その上で「被告は申告を認識しながら意図的に脱税している。脱税額の大きさや悪質さからすれば、起訴が著しく不当な事案とは到底言えない」と、刑事罰の妥当性を訴え、懲役1年、罰金1900万円を求刑した。

 判決は5月9日に言い渡される予定だ。

※おわり〆