日銀 2%の物価目標 達成の見通し時期を削除

日銀は、27日に公表した最新の物価見通しでこれまで「2019年度ごろになる可能性が高い」としてきた2%の物価目標の達成見通しについて、具体的な時期を削除しました。大規模な金融緩和を続けているにもかかわらず目標の達成時期を明確に示すことが難しくなっている現状をあらわした形です。

日銀は27日、経済と物価の最新の見通し、「展望レポート」を公表し、消費者物価指数の上昇率の予測について、今年度(2018年度)はこれまでの1.4%から1.3%に引き下げました。

また、来年度(2019年度)はこれまでどおり1.8%とし、再来年度(2020年度)も1.8%としました。

そのうえで、これまで「2019年度ごろになる可能性が高い」としてきた2%の物価目標の達成見通しについて、具体的な時期を削除しました。

日銀は5年前に今の大規模な金融緩和策を導入した際、「2%の物価目標を2年程度で実現させる」としましたが、その後も物価の伸びは鈍く、目標の達成時期をこれまで6回にわたって先延ばししてきました。

日銀は、「2019年度までの物価の見通しは従来とおおむね変わっていない」としていますが、大規模な金融緩和を続けているにもかかわらず2%の物価目標の達成時期を明確に示すことが難しくなっている現状をあらわした形です。

一方、景気の現状について日銀は、「緩やかに拡大している」という判断を据え置いたうえで、GDP=国内総生産の実質の伸び率の予測を、今年度はプラス1.6%、来年度と再来年度はいずれもプラス0.8%としています。

■黒田総裁「達成期限のような誤解あった」

日銀の黒田総裁は金融政策決定会合のあとの記者会見で、2%の物価目標を達成する具体的な時期の見通しを削除した理由について、「市場の一部に、2%を達成する時期の見通しが達成期限であるかのような誤解があり、時期の変更が金融政策の変更と結びついていると思われるおそれがあったため」と説明しました。

また、なぜ今回、達成時期の削除を決めたのか問われたのに対し、「いずれかの時点で行うことが、今回になったということだ」と述べるにとどめ、自身の再任や執行部の体制変更などによるものではないとしました。

そのうえで、黒田総裁は日銀として、できるだけ早期に2%の物価目標の実現を目指す方針に変わりはないとし、「2019年度ごろに2%程度に物価上昇率が高まっていくという日銀の中心的な見通しは変わっていない」としました。

4月27日 12時51分
NHK NEWS WEB
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