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2018年4月29日 14:52 発信地:ヨーロッパ
【4月29日 時事通信社】元リトアニア副領事の故杉原千畝氏が発給し、ナチス・ドイツの迫害から数千人のユダヤ人を救った「命のビザ」。この救出劇のもう一人の立役者であるオランダの元名誉領事、故ヤン・ツバルテンディク氏の功績を再評価する動きが母国オランダを中心に進みつつある。

 ツバルテンディク氏の知名度は欧州でも低かったが、杉原氏の偉業が世界的に知られることとなり、「忘れられた英雄」に光が当たった。

 駐リトアニアのオランダ名誉領事を務めていた1940年、ユダヤ人の窮状に接し、本来の行き先ではないと知りつつオランダ領キュラソーを最終目的地と証明する「ビザ」を出した。これらユダヤ人に旧ソ連を抜ける通過ビザを発給し、日本への一時的な避難を手助けしたのが杉原氏だった。

 リトアニア中部カウナスでは、オランダ大使館がリトアニア当局やユダヤ系住民らと協力し、ツバルテンディク氏の功績をたたえる「光のモニュメント」を設置する計画が進む。杉原氏が勤務した日本領事館跡にある「杉原記念館」から徒歩で20分程度の目抜き通りに置かれる予定で、オランダ大使館関係者は「6月にもお披露目できれば」と意気込む。

 10月にはオランダの著名作家ヤン・ブロッケン氏がツバルテンディク氏を題材にした書籍を出版し、「正義を貫いた」同氏の決断と命を救われたユダヤ人の姿を描く予定だ。

 杉原記念館のドビダビチュス館長は「ツバルテンディク氏は『命のビザ』の物語において重要な役割を果たした」と評価し、知られざる存在だった同氏に対する再評価の動きを歓迎している。(c)時事通信社