東京新聞 2018年5月1日07時05分

富士山の噴火で首都圏を中心に降り積もる火山灰に関し、政府が検討する被害想定案が三十日、判明した。
過去の噴火の推計から東京二十三区で一〜十センチ以上降灰する可能性を指摘し、住民の健康や交通、電力などインフラに与える影響を明示したのが特徴だ。
大量降灰によって首都圏の都市機能がまひする恐れがあり、年内にも初めてとなる対策づくりに向けて本格的な議論を始める。

政府は降灰推計の妥当性を検証した上で、降灰シミュレーションを今後作成。
降灰が数週間続くこともあるとみて、対象地域の住民避難の目安を検討し、自治体や住民向けに「応急活動方針」(仮称)といった指針策定にも着手する方針だ。

政府の検討資料では、国内外の火山被害の事例を参考として降灰量が
(1)一センチまでで一部の交通網に遅延や停止(2)十センチまでで社会・経済活動に障害発生(3)三十センチ以上で同活動がほぼ不能−の影響を及ぼすと定義した。

具体的には、降灰が始まると、空港の閉鎖や飛行禁止、五ミリの降灰で車の故障やスリップ事故の発生のほか、目や気管支の異常など健康被害も出始める。
通電不良で鉄道の運行停止の可能性が高まるとした。

降灰が一センチを超えると、送配電網の性能低下で大規模停電のリスクが増大。上水道は、ろ過材の目詰まりによって一部で水道の供給停止の事態に陥る。
十センチ以上で車が走行不能となり、物資の配送網が寸断される懸念があるという。

政府は、道路網を維持するため十センチを基準に緊急除灰が必要とし、早期復旧に向け、火山灰を除去する重機や仮置き場の確保の議論も進める。

富士山噴火の降灰イメージ
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/images/2018050199070544.jpg

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018050190070544.html