【サンパウロ=外山尚之、ワシントン=鳳山太成】トランプ米大統領が進める鉄鋼やアルミの関税引き上げを受け、南米の主要輸出国であるブラジルとアルゼンチンの対応が分かれている。ブラジル政府は3日までに、ブラジルが鉄鋼製品の輸出量を制限する代わりに、関税の適用除外となることで合意したとの米国政府の発表を否定した。一方、アルゼンチンは輸出制限を受け入れた。

米国とブラジルは鉄鋼輸出について、制限量を巡って対立。米国は4月26日に一方的に交渉を打ち切った上で、30日にブラジルとは合意したと発表していた。ブラジル政府は反発するが、業界団体が「他に選択肢はなく、輸出制限を受け入れるべきだ」との声明を出すなど、紛糾する。

アルゼンチン政府は米国に輸出する鉄鋼・アルミ製品の輸出を制限することで合意した。現地メディアによると、鉄鋼の輸出量は過去3年間の実績の平均を33%上回った水準で、18年の輸出上限は年間20万トンになるという。アルミは過去3年間の実績の平均と同等となった。

トランプ政権は鉄鋼やアルミの輸出規制を受け入れた国には関税の適用を除外する方針を示してきた。4月末にはアルゼンチンやブラジル、オーストラリアには関税をかけない方向で大筋合意し、近く数量規制の詳細を詰めると発表していた。既に過去3年間の輸出量の7割に減らすことで合意した韓国には関税をかけない方針を決めている。

一方、米国は欧州連合(EU)やカナダ、メキシコとは5月末まで交渉を続ける。これらの国は輸出規制の受け入れに反発している。

2018/5/4 11:41 (2018/5/4 20:29更新)
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30129860U8A500C1000000/