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■中国はEUの分裂を画策している

EUの当局者は、「中国は個々のEU加盟国との関係を強化して、欧州を分裂させようとしている」と述べた。 中国の投資に依存しているハンガリーやギリシャなどの国々は、過去に、中国からの圧力を受けやすかったことを見せてきたのだ。

今日ではヨーロッパの政治家が中国に行くたびに、シルクロード計画を合同で拡大させようという合意文書に署名するよう、主催者からの圧力を受けている。 「(EUとではなくて)2カ国関係を構築しようとすることは、中国が不当に利用する力の不平等な分配につながる」と、大使たちによる報告書は伝えている。

(以上、記事翻訳はここまで)

■アメリカの制裁で、中国がEUに協力を要請

近頃は周知のとおり、アメリカと中国は制裁の応酬をしている。

トランプ大統領は3月22日、「アメリカは中国に巨額の知的財産を盗まれ、過剰な対中貿易赤字を抱えている」として、中国製品に500億ドル相当の制裁関税をかけると発表した。

鉄鋼やアルミと異なり、この措置で中国が受ける影響は甚大だ。

これに対して中国は、自らを「多国間の自由貿易体制の守り手」と位置付け、国際社会にアピールしようとしていた(本気で言っているのだろうか)。

ロイター通信の報道によると、中国商務部(省)の傳自応副部長は4月12日・13日に、欧州主要国(独・仏・英・イタリア・スペイン)の大使と会談し、中国と協力して米国の保護主義に対抗することを要請したという。

ある外交筋は会談について「中国は自信を誇示しているが、内心ではかなり懸念を抱いているように見受けられる。彼らはトランプ大統領の通商問題に関する決意を見くびっていたようだ」と語った。

そして、中国は主な貿易相手が米国と連携する事態にならないか不安に思っていると付け加えた、と伝えている。

この記事はさらに、EUのある外交担当高官は「EUはどちらかの肩を持つつもりはなく、目標とするのは多国間システムを元通り機能させることだ」と強調、とある。

しかし、これは外交官ならではの社交的な方便だったのだろう。

この外交官は、ロイターの記者には中立とか多国間とか麗しいことを答えたが、実際には中国を厳しく糾弾する報告書をEUがまとめていたことを、知っていたに違いない。

■中国首相の訪日で、どう出る日本

アメリカに続いてEUからも、その体制を厳しく糾弾される中国。

中国が内心恐れているという「アメリカと他の主要国との連携」は実現しようとしている。各政権の政策はともかく、アメリカとヨーロッパは、根本的な価値観では一致している。

日本はどう出るのだろうか。

協力的な姿勢を見せているが、大丈夫なのか。

5月3日には、超党派の日中友好議員連盟(会長・林芳正文部科学相)の議員団が、中国共産党の序列3位の栗戦書・常務委員長と会談したという。

あさって8日には、李克強首相が訪日するが、ここで一帯一路の話は出るに違いない。

中国は、「欧米が冷たい今こそビジネスのチャンス」といった思考レベルでは太刀打ちできる相手ではない。

アメリカ、EU、ロシア、アジア各国の外交と地政学的な問題をすべて考えた上での戦略は、日本にあるのだろうか。

参考記事:北朝鮮の狙いは本当にアメリカなのか。中国・ロシアの争いとウクライナと核の傘 安全保障面で、ドイツやヨーロッパはどのように中国に危機感を抱いているかを解説。

繰り返すが、日本は、平和と繁栄を享受し続けたいのなら、外交大国にならなくてはいけない。

筆者は、日本の教育指針では「外交大国になること」を第一の目標と掲げ、プログラムを見直すことを心から提案したい。

おわり