車いす利用者が車輪を手で回す際の袖口への汚れを防ごうと、金属・ガラス加工会社「野村産業」の社長、野村敏夫さん(71)=砺波市千代=が新たな車輪カバーの開発を進めている。自身が入院した際、袖口がタイヤに触れる不便さを実感、できる限りシンプルで簡単に取り付けられるよう工夫した。今月14日から県西部を中心にモニター販売を始め、年内の完成を目指す。野村さんは「汚れを気にせず、外での活動に存分に使ってほしい」と話している。 (砺波支社編集部・正橋悠)

 野村さんは昨年4月に高岡古城公園を訪れた際、車いすのタイヤの外側に取り付けられたリングを自ら回して進むお年寄りを見掛けた。袖口を泥で汚しながら花見を楽しむ様子に「毎回汚れてしまって大変だろう。どうにかできないものか」と考えていたところ、自身が急性胆のう炎などで6月と8月に入院。カバーの無い車いすを使ってみて、袖口が汚れる煩わしさを味わった。野村さんは「診察に向かうだけでも触れてしまい、使い勝手の悪さを感じた」と振り返る。

 カバーの付いた車いすが、あまり普及していないことを知り、昨年9月に製作に着手。各メーカーの規格に合わせられるよう構造やサイズを工夫するなど試行錯誤を繰り返し、今年1月に試作品を完成させた。砺波市内のグループホームのお年寄りや知人の車いすに取り付け、出来栄えについて意見を聞いてきた。

 カバーは、強力な両面テープで止めた後、きりなどで必要な箇所に穴を開け、ねじくぎで取り付ける仕組み。価格は両輪セットで7千円程度を予定している。

 今月14日からのモニター販売でも意見を募り、指摘された箇所を改善し、今年中の発売を目指す。野村さんは「カバー自体の存在を知らない人もいると思う。興味を持った人がいたら相談してほしい」と話している


北日本新聞 2018年05月13日 05:00
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