イモを海水で洗って食べる行動で知られる天然記念物のサルが生息する宮崎県串間市の幸島で、昨年に引き続き干潮時に約200メートル離れた島と本土が陸続きになる現象が起きている。地元住民や専門家は、島に渡った観光客とサルとの間のトラブルを懸念している。

 現地で調査を続ける京都大野生動物研究センターによると、北風の影響で秋や冬に島と本土の間に堆積した砂を、これまでは夏の台風が取り除いたが、この数年は大きな台風の通過がなく、昨年、約16年ぶりに島と本土がつながったという。今年も同様の現象が起き、昨年よりも幅が数十メートル広がっている。

 島は周囲約3・5キロで、約90匹のサルが生息する。昨年はボスザル「ケイ」が本土に渡ったまま島に戻らず、ナンバー2のサルがボスになる事態に発展した。ケイの行方は現在も不明のままだ。

 島では天然記念物のサルも、本土で農地などを荒らせば有害駆除の対象になる可能性がある。研究センターの鈴村崇文さん(43)は「観光客が食べ物を勝手に与えてしまい、サルを本土に呼び寄せてしまうことが一番心配だ」と話した。

 市は4月から干潮時の数時間、本土側に監視員を配置。サルが渡ってこないように見張るとともに「サルがいる時は近づかない」「餌を与えるのは厳禁」などと注意喚起する文書を観光客らに配布している。

https://www.sankei.com/images/news/180514/wst1805140030-p2.jpg
https://www.sankei.com/images/news/180514/wst1805140030-p1.jpg
https://www.sankei.com/smp/west/news/180514/wst1805140030-s1.html