消費速報・名目の消費は極めて好調
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来週、公表される1-3月期GDPでは、消費は低調という結果になるだろう。
ただし、それは、実質で見た場合であって、名目では極めて好調だ。
名実の乖離は、天候不順に伴う生鮮食品の上昇による一過性のものだから、むしろ、基調は強い。
この背景には、雇用と賃金の伸びがあり、少しずつ物価にも及んでいる。
「実感がない」と言われ続けてきた景気回復も、様相を変えてきている。

5/11に、GDPの消費に近い内閣府・消費総合指数が公表され、3月は前月比-0.5と大きく落ち、1-3月期は前期比-0.3となった。
これでは、1-3月期GDPがマイナス成長になるとの見方が強まるのもやむを得まい。
また、日銀・消費活動指数+も、3月が前月比-1.0もの急落となり、これにより1-3月期の前期比も-0.3に下がった。
2月公表時での1,2月の平均は前期比+0.4であったから、かなり大きな変動だ。

興味深いのは、消費活動指数(旅行収支調整済)の前期比が名目で+0.5であるのに対して、実質は-0.4と、その差が0.9もあることだ。
名目なら年率2%成長なのに、実質だと大きなマイナス成長に変わる。
他方、統計局・総消費動向指数の実質は、3月は前月比+0.1で、1-3月期の前期比も+0.1だった。これが名目だと+0.5となる。
おそらく、GDPの消費は、物価を調整するデフレーター次第で、相当、違いが出るだろう。

活動指数、動向指数が共に名目で前期比+0.5と言うのは、極めて好調と言える。この背景には、雇用と賃金の伸びがある。
前回、記したように労働力調査の就業者と雇用者の伸びは驚くほどのものだった。
ただし、2,3月の毎月勤労統計の常用雇用は、特段、大きな伸びはないので、割り引いて考える必要があろう。
その3月毎勤では、特別給与が急伸し、現金給与総額が前月比+1.3と、意外なほどの増が見られた。

この結果、3月の総雇用者報酬は、前月比が+2.2にもなり、1-3月期の前期比は+1.6という異常とも言える高さだ。
毎月勤労統計の対象が1月から変更されているといった調査上の要因も含まれることや、
統計間のズレにも留意しなければならないが、名目における消費の高い伸びの理由には十分と考えられる。
これが4月の東京都区部のサービス物価の高まりにも結びついていると見るべきだろう。

4月については、消費者態度指数は、前月比-0.7と、引き続き振るわなかったが、いわば供給側の景気ウォッチャー調査は底入れを果たした。
季節調整値で見て、家計関連については3月に、企業関連も4月に底入れし、雇用関連のみが下げる形である。
その雇用関連も「先行き」は+2.1と底入れをうかがわせる。
仮に1-3月期はマイナス成長になろうとも、次の4-6月期については、明るい展望が持てる。

雇用と賃金については、出来過ぎの感はあるので、もうすこし様子を見る必要はあるが、一段の伸びが確認されれば、景気は次の段階、
すなわち、内需による自律的な成長に入ったという判断になる。こうなると加速は急になり、あれよあれよの内に、実感が伴って来る。
前回の例だと1987年くらいの状況かな。もう30年前の話なので、現役の皆さんは、ほとんど覚えがないだろうね。筆者だって記憶の彼方だよ。