「ボートの聖地」とも言われる埼玉県戸田市の戸田漕艇(そうてい)場(戸田ボートコース)で大量の水草が生い茂り、オールに絡まるなどして利用者を困らせている。必死に刈り取って何とかしのいでいるが、夏には大発生するおそれもあり、関係者の不安は尽きない。

 17〜20日に開かれた全日本軽量級選手権大会。土手に除去された水草が山積みになっていた。主催する日本ボート協会の担当者は「学生などにも人海戦術で手伝ってもらい、間に合わせた。レースに影響のないよう、大会中もチェックしている」。順位に影響は出なかったが、オールに水草が絡まったなどとして選手がレース結果に異議申し立てをした事例が、大会中に3件あったという。

 戸田漕艇場は、1964年の東京五輪でボート会場にもなった「ボートの聖地」。今秋で96回目となる全日本選手権などの大会も開かれ、約30の大学や実業団などが艇庫を置く。

 そこに昨夏、突然大量の水草が茂り始めた。県公園スタジアム課などによると、エビモなど4、5種類が生え、今年は3月下旬から発生。県ボート協会の和田卓理事長(73)によると、一時は全長2400メートル、幅90メートルの漕艇場のほぼ全面に生い茂った。県の担当者は「原因も、これからどうなるかもわからない」と頭を抱える。

 立教大ボート部では5月2日、練習中にオールが水草に取られて抜けなくなり1隻が転覆。「水草が体やボートにまとわりつき、岸まで泳げなかった」という。埼玉県立南稜高校ボート部の男子部員も「練習中に引っかかると止めなくてはならない」と嘆く。「大きな大会はすべて戸田。使えなくなると日本ボート界にとって大問題だ」。大学ボート部OBらでつくる日本ボートマンクラブの福田紘史代表(77)は気をもむ。

 管理する県公園緑地協会は4月…

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