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訪日外国人客(インバウンド)によるレンタカーでの人身事故件数が、2016年までの5年間の全国統計で、4倍以上に増加していることが分かった。国は、大阪、京都、兵庫の3府県の業者を対象に、交通ルールの事前説明の有無などを確認する実態調査を開始。レンタカー業界も、外国人が運転していることを示すステッカーを作製するなど、事故防止に向けた対策を進めている。(石川 翠)

 国土交通省の外郭団体の公益財団法人「交通事故総合分析センター」の調査では、外国人がレンタカーを利用し、相手より過失割合の大きい第1当事者となった死傷事故は、16年には81件発生し、12年の19件から急増している。利用者の多い沖縄県で同県レンタカー協会が調べたところ、物損事故を含めると16年は約9600件に上り、14年の約2900件から約3倍となっている。

 17年5月には大阪府泉佐野市の関西空港島内の道路で、中国籍や韓国籍の男女5人が乗ったレンタカーのワンボックス車と回送中のバスが衝突し、レンタカーの女性1人が死亡、4人も重軽傷を負った。同年10月には熊本県八代市の九州自動車道トンネル内で、中国籍の男性が運転するレンタカーが路上に停車、後続の大型バスが追突するなど4台が絡む多重事故を引き起こした。

 事態を重く見た国交省は昨秋、外国人観光客が運転をミスする危険性の高い場所を割り出す調査に、北海道や沖縄、大阪などの全国5カ所で乗り出した。

 総務省近畿管区行政評価局も今年4月、兵庫県内の新神戸駅、神戸空港周辺のほか、大阪、京都の一部のレンタカー業者を対象に実態調査を開始。事故の発生状況や来店時に交通ルールをどのように説明しているかなどを調べる。

 東京海上日動リスクコンサルティング(東京都)の長沢岳人・自動車リスク本部長は「母国の交通環境との違いに加え、安全運転に対する意識やモラルが異なることが背景にある」と指摘。「起こりやすい事故など出身国ごとの傾向が分かれば、ポイントを絞って注意喚起できる」と提案する。

2018/5/19 06:00
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