5/23(水) 8:13配信
毎日新聞

 東北大大学院薬学研究科、岐阜薬科大、京都大大学院医学研究科らの研究グループは22日、重度の知的障害「ATR−X症候群」の治療薬の候補を発見したと発表した。【早川夏穂】

 同症候群は、男性だけが発症する国の指定難病の一つで、▽言葉を話せない▽運動発達の遅れ▽骨格異常▽嘔吐(おうと)や便秘を繰り返すなど消化器官の異常−−などの特徴がある。これまでに治療薬はなく、日本では約100人が診断され、年間約10人が発症している。

 同症候群では、X染色体上のATRX遺伝子の変異で、DNAの構造体と結合して遺伝子の発現を調節するタンパク質の機能が低下する。研究では、同症候群のモデルマウスの学習や記憶の役割を担う海馬領域を調べたところ、異常な遺伝子の発現を確認した。

 今回、治療薬の候補として発表されたのは、天然アミノ酸の一種「5−アミノレブリン酸(5−ALA)」。サプリメントとして市販もされ、かいわれ大根や赤ワインなどの食品にも含まれている成分という。研究では、「5−ALA」をモデルマウスに2カ月間投与したところ、発現異常のみられた遺伝子が約70%改善し、認知機能、学習機能も改善した。この成果は21日付の英国学術誌電子版に掲載された。

 同日、会見した東北大大学院の福永浩司教授は「世界初の発見で、自閉症の症状改善にも有効な可能性がある」と強調し、臨床研究などを進めて、治療薬としての実用化へ期待を寄せた。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180523-00000008-mai-soci