2018年5月25日 15:50
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-05-25/P99QZN6KLVR401

シカゴからローマ行きのユナイテッド航空機に乗った男性が急性膵炎(すいえん)に見舞われ、緊急着陸を要請したものの、拒否された結果、長期入院と手術を強いられたとして、同航空を傘下に置く米ユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングスを今月提訴した。

  ルイス・クリスマン氏と妻のロザンさんがイリノイ州の裁判所に17日提出した訴状によれば、ルイス氏は2016年5月にユナイテッド機に搭乗した際、激しい痛みと吐き気を覚え、座席に座り続けることができなかった。同機を降りた後、まずローマで、その後は米国で数カ月入院し、手術を受けたという。

  クリスマン夫妻のデービッド・アクセルロッド弁護士は、できるだけ早くルイス氏を緊急治療室に運び込むため「ユナイテッド航空は旅客機を着陸させる義務があった」と主張。夫妻は同航空の怠慢などを理由に少なくとも10万ドル(約1100万円)の損害賠償を求めている。

  同航空では今年に入り乗客のペットが機内で死亡したことが問題視されたほか、昨年は定員超過で乗客を引きずり降ろし大きな批判を受けた。多大なコスト負担と他の乗客からの苦情に直面するリスクのある緊急着陸の判断は、航空各社にとって容易ではない。

  ユナイテッド広報担当のエリン・ベンソン・シャーラ氏は「訴えについては承知しており、内容を調べている」と述べた。

  ルイス氏は重症で定期便で帰国することは難しいと医師から告げられ、16年6月にチャーターされた緊急搬送機(AA)でシカゴに戻った。合併症を患ったため、胆嚢(たんのう)を取り除き胃バイパス手術を余儀なくされたと訴状に記している。