https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180525-00000179-jij-spo

◇「何でこんなになったのか」

アメリカンフットボールの日本大学−関西学院大学定期戦(5月6日)で起きた日大選手による悪質タックル問題で、
25日記者会見した日大の大塚吉兵衛学長が、内田正人前監督の「変化」に触れる場面があった。
 
騒動が大きくなるにつれ、日大アメフット部員らが抱える内田体制の指導のあり方に対する不満が表面化している。
大塚学長は「批判のある部員もいることは今初めて聞いた」としながらも、内田前監督が「去年と今年で、
何でこんなになったのか、現実的につかめない」と漏らした。
 
「部活の中で結果としてこういう現象を起こしてしまった。確かに、私の(持っていた)今までのイメージとは違う。
もうちょっと対応できる人だし、そういうことが理解できないというのが現状」
 
23日の記者会見でも内田前監督は、昨年12月の甲子園ボウル優勝を熱っぽく振り返った。
「(春に)負け越しのチームを、4年生が本当に一生懸命やってくれて、ついていった3年生が本当によく頑張ってくれた。
そうではないとあのチームが甲子園ボウルでは優勝できない」
 
しかし、新チームになり、昨年4年生を支えた新4年生は安心できても、昨年の3年生のような存在になるべき
新3年生が心もとなかった。とりわけ昨年の甲子園ボウルでも活躍した宮川泰介選手の成長が物足りず、
定期戦で激しいプレーを求めて奮起を促した−。内田前監督と井上奨コーチはそのように説明。
甲子園ボウル制覇などで「あまりにも急激にいろいろな経験をして、その中で彼らが対応できなかった部分も
あるのではないか」として、それを見抜けなかった首脳陣の責任もあると語っていた。

◇誰のための成長を求めたか
 
だが、21年ぶりの甲子園ボウル優勝で変化が生じたのは、選手だけだったのか。大塚学長は騒動の対応も含め
「(内田前監督は)本当にどうしちゃったんだろうなというか、去年と今年という形で、本人が逆に追い込まれたような、
感情的な問題も強くなっちゃったのかな」とも続けた。この点は本人と深く話していないようで、「よく分からない」という。
 
昨年は望外の優勝だったはずが、過去の栄光があるために、当然のように連覇を期待されて重圧を感じ、
選手への要求が一段と厳しくなった可能性もある。内田前監督は宮川選手に対する期待の大きさを繰り返し語ったが、
純粋に選手の成長を願う指導者だったのか、自分の実績のために成長を求める指導者だったのか。
 
内田前監督は結果責任を取って監督を退いたが、宮川選手に悪質な反則を指示したことは否定し続けている。
いずれまたアメフット部の指導に関わる可能性について、大塚学長は「少なくとも私がいる間、あと2年はない。
部がどう受け止めるか聞いていないので、私が勝手に判断するわけにはいかない」と述べるにとどめたが、
コーチ陣一新の必要性は感じており、部員の声も聞くという。
 
記者会見では大学としての対応が遅れた原因として、常務理事でもある内田前監督と大塚学長の関係も問われた。
23日の会見は学長の指示で行ったものではないという。「内田氏に指示できない関係にあるのか」と聞かれた大塚学長は
「そういうふうに書きたいですかね」と苦笑して否定したが、特定のクラブの監督が大学幹部でもあることの問題は
「真剣に考えなければいけない」との認識を示した。