被告人質問によると、腸が傷つくほど腹を刺すことを勝田被告が始めたのは、中学3年のときに受けた「いじめ」がきっかけだった。「自分の腹を刺して血が出てくるのを見ると落ち着いた」。
以降、人間関係で過度なストレスがかかると、それから逃れるために自分の腹部を刺すようになったらしい。

 高校生になると、それがさらにゆがんでいく。

 美少女キャラが登場するアニメに熱中するようになり、女の子が苦しむ様子を見たいという衝動が強まったのだ。
シャツを着たまま自分の腹部を刺したとき、流れ出る血がシャツを染めていくのを見て女の子が腹部から血を流して苦しんでいる姿を想像し、性的興奮≠得るようになった。

 高校卒業後、海上自衛隊に勤務するが、集団行動になじめず、半年足らずで退職。以後も郵便局や運送会社などで働いたものの、いずれも長続きしなかった。

 職場での人間関係によるストレスから逃れたいという思いから自傷行為を続ける一方、性的衝動に抗しきれなくなり、ついに一線を超えることになる。

サディズム型ペドフィリア

 勝田被告は12年、女児6人に対し、腹部をげんこつで殴ったり、下腹部を触ったりするなどした暴行や強制わいせつの罪で有罪判決を受けた。
腹部を殴られ苦しむ少女の姿を見て性的衝動を解消しようと、犯罪に手を染めるのだ。

 10年後の22年には、再び女児の腹部をげんこつで殴るなどした暴行、傷害罪で懲役4年の実刑判決を受け、服役した。

 それでもなお衝動は消えず、今回の殺人未遂事件に発展した。

 勝田被告の精神鑑定を担当した医師は法廷で、他人に身体的心理的な苦痛を与えることに性的興奮を抱く「性的サディズム障害」と、
子供に対して性的興奮を抱く「ペドフィリア」(小児性愛障害)が複合した「サディズム型ペドフィリア」と説明した。

 犯行に至る誘因の一つとして、勝田被告が自傷行為で入院したことを挙げ、
「自傷行為ができず、性的な快感が得られない抑圧された状況の中で犯行への衝動性が高まっていったのではないか」と分析した。

 こうした点を弁護側は、両親の厳しいしつけと中学時代に受けたいじめによって心理的な抑圧を受け続けてきたことが、性癖の形成に結びついたと主張した。